中国人観光客、「爆買い」の次は革命ツーリズム
ロシア政府は今のところ、革命100周年について公式な見解を出しておらず、最小限の範囲で言及するというアプローチを選んだようだ。国家主義を高揚させるために歴史を利用し、時には独創的に語り直す国にしては、珍しいことだ。
文化省はプーチンの指示を受けて、小規模な展覧会やコンサートを開催している。しかし、第二次大戦の対ナチスドイツ戦勝記念日にモスクワで毎年行われる軍事パレードのような派手なイベントは一切見当たらない。
「ロシア人、特に若い世代は革命の過去を懐かしむこともない。過去を祝うためにカネを費やすつもりもない」と、ペトロフスキーは言う。
ロシアと中国の関係を考えると、ロシアが多くの中国人観光客を迎えるようになったのは、両国がより緊密な外交関係を模索し始めた時期と重なる。
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7月にロシアを訪れた習は、今年3回目となるプーチンとの首脳会談に臨み、両国関係は「歴史上、最高の状態」だと述べた。2人はシャンパンで乾杯する姿を報道陣に撮影させ、両国企業は総額100億ドルの合意を締結した。
「紅色旅遊は控えめなプロパガンダであり、ソフトパワーの道具だ」と、ペトロフスキーは指摘する。両国の友好関係は地政学的に好ましいだけではない。資金不足に苦しむロシアにとって、中国からの経済支援は大歓迎だ。
今年、特に人気が高まりそうなのは、ボルガ川流域のレーニン生誕の地ウリヤノフスク。モスクワから東へ約900キロ離れたこの町を訪れる中国人観光客は、今年は昨年より1000人多い約6000人に達する見込みだ。
ウリヤノフスク側も準備を整えている。路面には、中国語とロシア語でカール・マルクスの名言が記されている。レストランは中国語のメニューを用意。レーニンの生家の近くにあるホテルは、基本的な中国語が分かるスタッフをそろえた。
レーニンが幼い頃に暮らした家など、市内には数多くの記念館がある。旧ソ連時代の服を着て、当時の少年団のトレードマークだった赤いスカーフを首に巻いた中国人グループを見掛けるときもある。