「選ばれし者」アルカイダの次期指導者はハムザ・ビンラディンで決まり?
国際テロ組織アルカイダの指導者だったウサマ・ビンラディンの息子ハムザ(写真左)。アフガニスタン中部ガズニ州で2001年頃に撮影されたと見られる REUTERS/Al-Jazeera TV
<ウサマ・ビンラディンの20人以上いる子供のなかでもハムザは幼い頃からアルカイダのプロパガンダに登場し、今もイスラム聖戦運動の中で抜群の知名度と過激さを備えている>
9.11米同時多発テロ16年周年の前日、テロ組織アルカイダは自分たちがジハーディスト(聖戦士)として世界に名を轟かせた9.11当日に4つのメッセージを発表すると予告した。投稿されたメッセージの1つには、世界貿易センタービルに激突しようとする航空機のシルエットや、炎上するツインタワーの画像が載っていた。興味深いのは、そのツインタワーと重ねるように、2人の人物の姿が写っていたことだ。1人は9.11テロを指揮したアルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン。もう1人はその息子、ハムザ・ビンラディンだ。
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現在20代後半のハムザは、幹部の高齢化が進むアルカイダの若き後継者だ。アルカイダは、テロ組織ISIS(自称イスラム国)がイラクとシリアにまたがるカリフ国家を樹立し勢いづいた間に存在感を失った。ハムザは今、父ビンラディンの威光を、強力なプロパガンダに利用している。ハムザの名前は、欧米社会でも、広い意味でのイスラム聖戦運動の中でも、抜群の認知度がある。
アメリカはすでにハムザを「国際テロリスト」に指定しているし、あるイギリスの政治家はハムザを「テロの皇太子」と呼んだ。アルカイダの最高指導者アイマン・アル・ザワヒリは2015年8月の音声メッセージで、ハムザを「アルカイダの獅子」と紹介した。ハムザはアルカイダのプロパガンダを一手に担いつつある。
9.11テロ16周年の日にアルカイダが公開したツインタワーにはビンラディン父子の姿が重なっていた AL-QAEDA MEDIA
表に出れば殺される身の上
アルカイダのプロパガンダ部門アズ・サナブは今年5月、「欧米の殉教志願者」に向けた「助言」と題したハムザの音声メッセージを、英語とアラビア語で公開した。ハムザは中東、とりわけシリアやイラク、アフガニスタン、ヨルダン川西岸やガザ地区で戦うイスラム教スンニ派を支援するためジハーディストが団結するよう呼び掛けた。
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「できるだけ多くの敵を殺害できるように、標的の選定を完璧にせよ」とハムザは言った。「武器の選択でプロ意識を持て。必ずしも軍用の武器を取る必要はない。銃を取れればそれでいい。それができなくても、他の選択肢はたくさんある」
アルカイダがハムザを貴重な後継者として守っていることを示すヒントは他にもある。アルカイダは成人後のハムザの容姿をまだ一度も公表していない。公表すれば敵軍の関心を呼び、命を狙われてしまうからだ。事実、ハムザの兄サード・ビンラディンは2009年に米軍がパキスタンで行った空爆で死亡し、義理の兄でアルカイダのナンバー2だったハイル・アル・マスリも今年アメリカ主導の有志連合がシリアで行った空爆で死亡した。