最新記事

それでもトランプ

世論調査でわかった、トランプ支持者の差別寛容度

2017年9月5日(火)16時30分
ウィリアム・サレタン(ジャーナリスト)

反トランプ派のデモ現場で警察官に向かって叫ぶトランプ支持者の男性(8月31日) Joe Penney-REUTERS


170912cover-150.jpg<ニューズウィーク日本版9月5日発売号(2017年9月12日号)は「それでもトランプ」特集。政策や言動が支離滅裂でも「白人至上主義」擁護でも、トランプ大統領が支持され続ける理由に迫った。この特集から、トランプ支持層の実像をあぶり出す世論調査の記事を転載する>

ドナルド・トランプ米大統領はなぜ差別主義者に気を使うのか。差別主義者こそがトランプの支持基盤だからだろうか。世論調査によれば、差別主義者は選挙結果を左右するほど多くないが、トランプ支持層のかなりの部分を占めている。


KKK(クー・クラックス・クラン)に賛同するのは......

magSR170905-1.png

「憎悪に基づいた殺人」を主張する白人至上主義団体への支持を公言できる人は極めて少数のはずだが......。


ネオ・ナチに好意的なのは......

magSR170905-2.png

ホロコーストを支持するネオ・ナチを受け入れられる共和党員が6%もいること自体が驚きだが、トランプ支持者にはその倍もの割合がいる。


反差別主義デモに参加を望む人は......

magSR170905-3.png

白人至上主義者のデモが起きたら、反差別主義デモで抗議する意思がある、と答えたトランプ支持者は非支持者の3割以下。


「良い差別主義者はいる」と答える人は......

magSR170905-4.png

白人至上主義者でも良い人はいる、という可能性を否定できない割合はトランプ、ヒラリー・クリントン両支持者の間で大きな開き。


差別主義を許容できる人は......

magSR170905-5.png

ネオ・ナチや白人至上主義を許容できるかという問いに、トランプ支持者は寛容な心を見せる。


シャーロッツビルの事件で非難されるべきは誰?

magSR170905-6.png

バージニア州シャーロッツビルで死者が出た責任について、トランプ支持者の多数派は「反差別主義者」と回答した。


人種差別の被害者だと思うのは?

magSR170905-7.png

トランプ支持者の中で「白人が被害者」と答えた人は、「黒人」「アジア系」「ヒスパニック」「先住民」の合計を上回った。


どちらに対する偏見がより深刻か?

magSR170905-8.png

「少数派の非白人よりも多数派の白人への偏見のほうが深刻」という考えはトランプ支持者以外の共和党員にも浸透している。


診断結果

トランプが差別主義者を排除すれば、支持基盤の多くを失いかねない。既に40%を下回った支持率のうち5ポイント以上は白人至上主義者とみられており、そうしたコアな支持層を捨てれば支持率が30%を切るのは避けられない。

差別主義的な言動が多いトランプが偏見まみれなのは確かだが、シャーロッツビル事件で反差別主義者への批判をためらったのはもっぱら政治的な自己保身によるものだろう。ただトランプ自身の偏見はどうであれ、上記の調査結果から断言できる事実が1つある。支持率が落ちれば落ちるほど、白人や保守派だけでなく、差別主義者にしがみつくしかなくなるということだ。


※「それでもトランプ」特集号はこちらからお買い求めいただけます。

【参考記事】分裂を煽るだけのトランプ「フェニックス居直り演説」

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中