北朝鮮の次はNFLを「口撃」、スポーツまで敵に回したトランプ
NFLの抗議は、昨年8月に当時サンフランシスコ・フォーティーナイナーズに所属していたコリン・キャパニック(今はフリーエージェント)が黒人に対して相次ぐ警察の暴力に抗議して国歌斉唱時の起立を拒否したことがきっかけで始まった。トランプは先週初め、アラバマ州の集会で、キャパニックや彼に同調して抗議行動に参加した選手らを批判した。「どこかの選手が星条旗に敬意を表さない時、NFLのオーナーが『そのくそ野郎を今すぐフィールドからつまみ出せ、あいつはクビだ』と言う場面を見たくないか?」
トランプの連日の攻撃は火に油を注いだだけだった。英ロンドンのウェンブリー競技場で24日に開催されたボルチモア・レイブンズ対ジャクソンビル・ジャガーズの試合では、国歌斉唱時に両チームのほとんどの選手が横一列で腕を組んだり、片膝をついたりした。レイブンズのコーチ、ジョン・ハーバウも選手とともに腕を組んだ。引退後にレイブンズの殿堂入りを果たし、過去にキャパニックの抗議行動を批判したことがあるレイ・ルイスですら、古巣のチームメートとともに片膝をついた。トランプの大統領就任時に100万ドルを献金したジャガーズのオーナーでパキスタン系移民のシャヒド・カーンも、選手らと腕を組んだ。
抗議選手にブーイングも
「ジャガーズとNFLはアメリカの姿を反映している。人種、信仰、物事の視点、目標など、多くの面で多様性を呼び込んでいる」と、カーンは米スポーツ専門局ESPNを通じて声明を発表した。「我々には解決すべきことがたくさんあり、やり遂げる力もある。だが大統領の発言がそれを困難にしている。だからこそ、チームとしても個人としても、世界に意思表示したかった。時に意見の相違はあったとしても、より良い人間や国になるためなら我々は団結できる」
皆が同意見だったわけではない。試合を観戦した一部のファンが、片膝をついた選手にヤジを飛ばしたという報道もある。米ネットメディア「インターセプト」の記者、ショーン・キングによれば、ニューヨーク・ジェッツのオーナーであるウッディ・ジョンソンがトランプから駐英大使に任命された手前、ジェッツの選手は膝をつくのを止めるようチームが命令したという。
過去にも抗議を試みたNFL選手はいる。グリーンベイ・パッカーズのマーテラス・ベネットや、フィラデルフィア・イーグルスのマルコム・ジェンキンス、オークランド・レイダーズのマーショーン・リンチなどだ。だがこれほど大規模な抗議行動は今回が初めてだ。