「精子減少で人類滅亡」のウソ
それでは、精子の数の減少が原因で人類が滅亡する日は近いのだろうか?
恐らくそんなことはない。
2013年、ニューヨークのプレスバイテリアン病院と米ワイルコーネル医科大学で生殖医学を専門とするハリー・フィッチと彼の同僚は、1992年以降に発表された精子の質に関する35件の研究結果を包括的に分析し、精子の数をめぐるデータのトレンドを調べた。
フィッチらは1万8109人の男性を対象にした8件の研究で、精液の質の低下がみられたと報告した。一方11万2386人を対象にした21件の研究で、精液の質は同じ、もしくは良くなっていた。さらに2万6007人を対象にした6件の研究は、曖昧もしくは矛盾する結果だった。
精子の数はまだ十分
フィッチに言わせれば、要するに「世界中で精子のパラメーター値が下がっているという主張は、まだ科学的に証明されていない」のだ。
フィッチは、研究チームは複合的な原因を考慮しようと努めた割に、肥満の増加やマリファナの服用、座ることの多い生活スタイル、精巣の温度上昇など元に戻すことも可能な要因が精子の減少を引き起こしているかもしれないことを十分に考慮しなかったのではないか、と言う。
世界保健機関(WHO)によれば、正常で受精可能な精子の濃度は1ミリリットル当たり1500万だ。今にも人類が滅亡しそうな印象を与える見出しは、少々大げさだろう。
(翻訳:河原里香)
This article first appeared on Reason.com.
Ronald Bailey is a science correspondent at Reason magazine and author of The End of Doom (July 2015).
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