重慶市民、犯罪一掃した薄煕来を慕う 「遺産」に警戒強める中国
薄氏の失脚、そして習近平氏の権力確立に伴い、地方政府の指導者たちは、政治的な脅威として、あるいは路線の逸脱と見られることを避けるため、昇進を競い合いつつも、それまでよりもはるかに保守的なアプローチをとるようになった。
アナリストらによれば、必要なのは目立たないようにして大きな事故を避け、時間を稼ぐことだという思い込みがあったせいで、孫氏の重慶における保守的な指導スタイルに拍車がかかってしまった可能性があるという。
だが、孫氏の看板政策であった、重慶市を「都市中枢」や「生態系保全ゾーン」など5つの「機能別エリア」に再編するという難解な計画は、多くの市民の心をつかむには至らなかった。
重慶の弁護士Zhou Litai氏は、「非現実的で空疎な計画だ」と言う。
リスク回避
昨年10月、重慶で炭鉱爆発事故が発生して33人が死亡し、全国規模のトップニュースになったが、その後の市内の炭鉱業に対する取り締まりを見ても、孫氏のリスク回避志向は明らかだった。
国営メディアの報道によれば、重慶市政府の対応は、年間生産量9万トンに満たない炭鉱すべてに生産中止を命じ、市内181カ所の炭鉱を閉鎖したという。業界関係者がロイターに語ったところでは、生産中止となった炭鉱はまだ再開されていないという。
炭鉱所有者のあいだでは、市政府は過剰反応しているという声もある。
炭鉱所有者の1人である前出のJin氏は、生産中止の対象となった炭鉱の所有者はいずれも厳しい財務状況に陥っており、Jin氏の企業でも従業員300人の大半が解雇されたという。
孫氏の後任として重慶市党委員会書記に就任した陳敏爾氏は、ただちに市職員らに対し、同市から薄氏および警察トップだった王氏の思想を排除するよう求めた。
官製メディアである重慶日報によれば、陳氏は先週、「薄、王両氏の思想という悪しき遺産を、考え方、政治、働き方から断固として排除せよ」と述べたという。
国内各省の官製地方紙は26日、各省政府が会合を開き、孫氏の取り調べに関する党の決定を「断固として支持」したとの記事を1面に掲載した。
(翻訳:エァクレーレン)
[重慶(中国) 26日 ロイター]
