北朝鮮2度目のICBM発射実験は、アメリカと日韓を分断するワナ
だが、トランプ政権と連邦議会は今、医療制度改革をはじめとする主要な国内問題をめぐって熾烈な権力闘争のただ中にある。アジアやヨーロッパの安全保障(とくに同盟国との関係)については関心が低い。中国と北朝鮮は、そうした力の空白に乗じているのだ。
日本と韓国の間には大きな意見の相違がある。それでも、北朝鮮の金正恩政権が韓国、日本、そしてアメリカに及ぼす脅威は前例のないものであり、戦略的に最優先で取り組むべきだ。アメリカは、韓国と日本をあらゆる手段で守るという意志を明確化し、その広範にわたる攻撃抑止力を行動で示す必要がある。
韓国およびアメリカの左派には、北朝鮮に体制の存続を保証し経済的な見返りを与えれば、核武装を白紙撤回するはずだという見解が根強く残ってきた。しかし、今回のICBM発射実験をみれば、そうした見解はもはや有効性を持たないはずだ。
金体制を倒すのはクーデター
北朝鮮における現体制の存続は100%、国内の矛盾にかかっている。金正恩を権力の座から追いやる役割を担うのは、朝鮮労働党および朝鮮人民軍だからだ。
今日明日に起きるとは考えられないものの、共産圏で唯一、世襲による権力継承が行われている最後のスターリン主義国家である北朝鮮の体制は、国内勢力によるクーデターによって終わりを迎える可能性が一番高い。
日米韓3国の政府は、新たな戦略的脅威に目を向け、北朝鮮、さらには中国に対して一体となって発言し、行動すべきだ。世界はもはや、中国の北朝鮮に対する容認姿勢を見逃すことはできない。
(翻訳:ガリレオ)
This article first appeared on the Atlantic Council site.
Barry Pavel is senior vice president, Arnold Kanter chair, and director of the Brent Scowcroft Center on International Security at the Atlantic Council.
Chung Min Lee is visiting senior fellow in the Brent Scowcroft Center on International Security's Asia Security Initiative