タイを目指す北朝鮮「脱北者」急増 昨年の2倍のペース
非公式な合意
公式には、タイは自国に入国する北朝鮮人を難民ではなく、不法移民として扱う。
タイは1951年に採択された「難民の地位に関する条約」に署名しておらず、難民に関する法律も同国には存在しない。
だが非公式に、タイ当局、韓国政府、脱北者の間で取り決めがなされることがしばしばだ。
「北朝鮮人は捕まるためにタイに来る。韓国に亡命するためだ」と、ゴールデントライアングル付近のチエンコーン郡当局者は話した。
タイに入国した脱北者は逮捕され、不法入国で起訴される。
その後、彼らはタイの首都バンコクにある移民収容所に移送され、通常はそこから韓国に送還される。
「韓国の憲法が全ての朝鮮人を市民と認めているため、北朝鮮人の送還先として韓国が正当と見なすことは可能だ」と、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア担当副ディレクターであるフィル・ロバートソン氏は語った。
タイ・韓国間の取り決めのため、国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)が、タイにいる脱北者に対処することはまれだという。
「脱北者は通常、UNHCRの事務所には来ない。安全を求める他の方法があるから」と、UNHCRアジアの広報担当者ビビアン・タン氏は述べた。
バンコクにある韓国大使館は、大使館の役割についてコメントを差し控えた。
(Panu Wongcha-um記者 翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)