香港返還20年 若者たちは中国への「愛国心」薄く
ルドウィック・チャンさん。香港で先月13日撮影(2017年 ロイター/Bobby Yip)
香港の学生活動家Chau Ho-oiさんは、このアジア有数の金融ハブが中国に返還された20年前に生まれた。彼女はかつて、中国本土を誇りに感じたことがあったと振り返る。
2008年、11歳だった彼女は両親と並び、誇らしい気持ちで北京五輪をテレビで見た。そして、中国の選手団が、どの国よりも多い48個の金メダルを獲得するのを見て「心から興奮」したという。
「中国は素晴らしいと思った」とChauさん。「もしその時に、自分は中国人かどうか聞かれたら、はい、と答えただろう」
だが9年経った今、かつて英国領だった香港の「返還後の第一世代」は、加速度的に中国本土に背を向けつつある。
「今は、自分が中国人だとは言いたくない」と、2014年の民主化デモで拘束された経験があるChauさんは言う。「とてもネガティブな気持ちになる。100回聞かれても、同じ回答をするだろう」
香港大が20日公表した調査によると、18歳─29歳の若者120人のうち、自分が「広義の中国人」だと認めた割合は、わずか3.1%だった。半年ごとに行われているこの調査が開始した20年前は、この割合は31%だった。
ロイターがChauさんを含む1997年生まれの香港の若者10人に行ったインタビューでは、中国本土から移住した1人を含め、全員がまず「香港人」と自認し、この街に忠誠心を持っていると答えた。
香港は、19世紀に段階的に英国植民地となった。中国返還に際しては、「一国二制度」の仕組みが採用され、少なくとも50年間は、香港は独立司法や表現の自由を含めた広範な自治を認められることになった。
取材に応じた20歳の若者たちは、北京の共産党指導者が香港の自由を締め付けにかかっていることを示唆する一連の疑わしい策略を目にして、態度が硬化したと語った。