最新記事

フランス政治

議会選圧勝のマクロン新党、改革実行は労組の協力がカギ

2017年6月20日(火)08時50分


労組の団結には疑問符

フランスは、先進国の中で最も労組加入率が低い国の1つだが、労働者のほとんどをカバーする集団合意の合意形成などで、労組は大きな影響力を維持してきた。

しかし近年では、ストライキの頻度が落ちて影響が小さくなり、成功を収める割合も減ったことから、労組は退潮傾向にある。

労組間の対立は、昨年オランド政権がより限定的な労働改革を進めることを容易にした。CFDTが改革案を支持した一方、共産系のCGTは数週間もデモ活動を行って阻止しようとしたが不首尾に終わった。

他の労組が協調に動くなか、CGTとCFDTの組合員の間の不和は続いている。CFDTは今年、CGTを抜いてフランス最大の民間部門労組となった。

「もしCGTが孤立の恐れを自覚するなら、他の労組に接近しなくてはならない。だがその準備はまだないように見える」と、労働問題のシンクタンクを主宰し、かつてCGTの組合員だったジャンドミニク・シモンポリ氏は指摘する。

マクロン氏が圧倒的勝利を収めたことで、一部の強硬派が、影響力が残っていることを示すために、闘争に固執する可能性もある。

ジャンリュク・メランション氏の急進左派政党は、フランス国民の多くが大事にしている労働者の権利をマクロン氏がないがしろにすれば、「社会闘争」を行うと宣言している党の一つだ。

メランション氏は、今回の選挙で南部マルセイユの議席を獲得し、こう気炎を上げた。「私は、新政権に対し宣告する。労働法制を巡る闘争で、一歩も譲ることはない」

(Leigh Thomas記者、Caroline Pailliez記者、翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

[パリ 18日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中