議会選圧勝のマクロン新党、改革実行は労組の協力がカギ
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ミュリエル・ペニコー労働相。パリで5月18日撮影(2017年 ロイター/Benoit Tessier)
フランスの労働組合は、18日に行われた国民議会(下院)の決選投票の結果、議会における伝統的な盟友の多くを失った。だが、マクロン大統領が成功裏に改革路線を押し進めたければ、労組を踏み倒して行く訳にはいかない。
マクロン大統領と結成1年を迎える彼の新党「共和国前進」は、公式発表によれば過半数を大きく上回る議席獲得が確実で、調査会社の予測では、定数577議席のうち350議席以上を獲得する見通しとなっている。これにより、マクロン大統領は、議会の協力を得て、冗長な議会交渉を経ることなく改革を進めることが可能となる。
マクロン氏は、左派を叩きのめした。とはいえ、フランスの強力な労組は慎重に扱わなければならない。
焦点は、公約通りに労働市場に柔軟性をもたらせるかどうかだけではない。大統領がどう労働改革を進めるかによって、失業保険や年金など、今後に控えるさらなる改革の方向性が決まる。
労組の多くは、マクロン大統領の改革政策を不安視し、性急な改革の実行を恐れているが、一方で、マクロン政権がこれまでのところ、労組側と緊密に協議し、今後数週間で詳細な改革案を策定すると約束したことには安堵している。
問題は、マクロン大統領が今後の改革の過程でも、労組側の意見を取り入れ続けるかどうかだと、フランスで3番目に大きい労組「労働者の力」(FO)のジャンクロード・マイー書記長は指摘する。
「彼(マクロン氏)は、『同意しないなら、力で改革を押し進める』と言うだろうか」と、マイー氏はロイターのインタビューで語った。「もしそうなら、彼の政権は労組関係で良くない滑り出しをすることは確実だし、緊張関係が生まれる」
フランス最大の民間企業労組で、改革に最も理解を示すフランス民主労働連盟(CFDT)でさえ、同連盟が提出する対案が無視されれば、抗議デモを行う可能性を排除していない。
「われわれは、他のすべての人たちと同様に、民主的な方法で意見を表明する可能性を残しておく。もし抗議活動を行う必要があるなら、そうする。もし企業内で動員をかけなければならないなら、そうする」。CFDTのローラン・ベルジェ氏はロイターにそう語った。