議会選圧勝のマクロン新党、改革実行は労組の協力がカギ
厳選された担当相
政府にとって有利なのは、労組側が、新任のミュリエル・ペニコー労働相を良く知り、尊敬していることだ。ペニコー氏は、食品大手ダノンの人事部門のトップを務め、公共・民間部門の双方で様々なポストを経験している。
これは、前任のミリアム・エルコムリ氏とは大きな違いだ。エルコムリ氏は、オランド前大統領の指示で同政権の労働改革案の策定を行ったが、数週間にわたるストライキやデモが起きるなど、経験不足を露呈した。
ペニコー氏自身がこの分野に明るいだけでなく、彼女のチームも、フランスの労働問題の機微に通じている。スタッフのトップには、フランス最大の雇用主協会出身者が起用され、次席にはFOの元交渉担当責任者が据えられた。
しかし、6月初旬にリークされた労働省の書類で、改革がそれまで考えられていたよりも急進的である可能性が示された。政府は、これが検討材料でしかなく、公式な立場でないと労組側に説明するなど、火消しに追われた。
今、労組は、詳細な改革案の公表を不安な気持ちで待っている。そして、これまでに示されたいくつかの案について、一部またはすべて反対する姿勢を隠していない。
「議論の入り口で必要不可欠なのは、誠実な対話の時間だ。今後数週間で、誠実かどうかわかる」と、CEDTのベルジェ氏は言う。
FOのマイー氏は、雇用主が、職場で労働問題に関する社員投票を実施することを可能にする改案革について、全労組が反対していると指摘する。同氏は、これは「労組外し」にほかならないと話す。
労組は、部門レベルではなく企業レベルにより労働条件についての裁量権を持たせる改革案についても懸念している。これも労組を弱体化させるからだ。
ほかに、労働裁判所が雇用主に支払を命じることができる解雇補償金に上限を設ける案も、強い反対を呼びそうだ。