劇場ファーストこそ映画? カンヌ映画祭、今年は映画界とNetflixが激突!
CGVのボイコットに対して世論は、「やり過ぎではないか?」「ちゃんと劇場のスクリーンで見たい観客だっているのに」「観客の声を無視したやり方ではないか?」と、やや批判的な声が集まっている。一方、配給会社NEWは自社の映画館を持っていない。それに対しても、「もしもNEWが劇場を持っていたとしたら、果たして今回のような劇場とネット配信で同時公開という方法を取っていただろうか?」と疑問視する声が上がっている。
どちらにしても、Netflix未加入者や映画館で「オクジャ」を見たいと公開を待ち望んでいた映画ファンたちを無視するような結果だけは避けて欲しいところだ。
わざわざ映画館に行く価値とは?
そもそも、Netflix社は1997年ビデオ/DVDレンタルの会社として出発したが、その後、現在のようなオンライン配信会社として有名になった。2012年からはドラマ制作に着手し、2015年から映画の製作に取り組み始めている。現在はコンテンツ制作会社としても順調にその規模を拡大しており、Netflix日本代表取締役社長のグレッグ・ピーターズは、昨年「将来的にはコンテンツ全体の50%をオリジナルが占めることを見込んでいる」と発表している。
【参考記事】ネットフリックス日本進出の成否、米メディアはこう見る
Netflixを筆頭としたオンラインストリーミング配信会社の強みの一つに、そのマーケットリサーチ力がある。どういった視聴者層がどんなジャンルを好み、何話目で見るのをやめたのか......等、キメ細かく今のトレンドと傾向をリサーチすることができる。配信会社は、今後これらの統計データを映画作りに反映し、ターゲット層のニーズに合った作品を無駄なく制作していくことが可能になるだろう。
その意味では映画館は今後、ただ映画を見る場所を提供するだけではなく、観客がわざわざその映画館に行く価値を提供できるかどうかを考えていかなくてはならない。ただ、「同時配信は嫌だからボイコットします」では、観客はますますネット配信側に流れて行ってしまうのではないか。今こそ、互いに手を組み、それぞれの特性を生かした形で、映像体験を提供する道を模索していくべき時期にきているのかもしれない。