最新記事

テロ対策

東南アジアのISIS対策 「無法地帯」の海上制圧が鍵

2017年6月16日(金)09時00分

戦闘員の容疑者情報は共有されているものの、フィリピンにおけるフォローアップ不足について若干の苛立ちがある、とマレーシアのある政府当局者は明かす。

「課題の1つは、戦闘員がフィリピン南部に入った後の追跡調査だ。現場で彼らに向き合えるのはフィリピン軍だけだ」と同当局者は匿名を条件に語った。

一方、フィリピンの当局者は、ムスリムが多数を占める一部の地域では武力紛争が増加しており、これに対応するために同国の治安当局は「あらゆる手を尽くしている」と語る。

「軍だけでなく、政府でも全体的な努力をしている」と軍最高司令官のエドアルド・アノ将軍は先週、記者団に語った。

域内のテロ問題を専門とするシドニー・ジョーンズ氏は、フィリピンを「弱い輪」と表現し、同国の警察、軍部、情報機関それぞれの連携不足を批判。「他の東南アジア諸国に比べて、治安関連機関が完全に(連携することなく孤立する)サイロ化していることが多い」

「フィリピンは長年にわたって反体制勢力に対処してきた事実があり、そのため、IS系組織という新たな現象にやや鈍感になっているのではないか」とジョーンズ氏は苦言を呈した。

(翻訳:エァクレーレン)

Kanupriya Kapoor

[シンガポール 14日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

全米鉄鋼労組会長、日鉄・USスチール提起訴訟の棄却

ビジネス

カナダ企業団体・労組幹部が経済活性化で7日に会合、

ビジネス

英アーム、通期見通しを下方修正 株価下落

ワールド

仏下院でバイル首相の内閣不信任案否決、予算成立に道
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 3
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 4
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 7
    「僕は飛行機を遅らせた...」離陸直前に翼の部品が外…
  • 8
    【USAID】トランプ=マスクが援助を凍結した国々のリ…
  • 9
    AIやEVが輝く一方で、バブルや不況の影が広がる.....…
  • 10
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 5
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 6
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 7
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 8
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 9
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中