最新記事

科学

性的欲望をかきたてるものは人によってこんなに違う

2017年5月2日(火)11時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

「ルール34」がそれほど多くの人の共感を呼んでいるのはなぜだろうか? ウェブサイトめぐりに時間を割く人なら、だれもがピーターの言葉を事実だと思うからだ。「Erotic Falconry」には、捕食性の鳥と一緒にいるエロチックな姿の女性の写真が載っている。「Snarry.net」にはハリー・ポッターとスネイプ先生のエロ物語が掲載され、「Looner Vision」では、風船と戯れて欲情を催している人たちの動画が紹介されている。コメディアンのリチャード・ジェニはこう語っている。「インターネットは人と人とを引き合わせる。どんなに変わった性嗜好の持ち主だって、ネットの世界なら、いくらでも仲間が見つかるよ。キーボードに『発情しているヤギとセックスしている人を探せ』と打ち込んでごらん。コンピュータはこう指示するから。『ヤギの種類を特定してください』」

 ワールドワイドウェブのサービスが始まった1991年には、アメリカで出版されていたアダルト雑誌は90誌ほどしかなく、ニューススタンド(売店)でも、10誌以上を置いているところはほとんどなかった。それからわずか6年後の1997年には、ネット上に900ものポルノサイトができていた。今では、有害サイトをブロックするフィルタリングソフト「サイバーシッター」が、250万のアダルトサイトをブロックしている。ブロードウェイミュージカル『アベニューQ』で、あやつり人形が「ネットはポルノのためにある」と歌っているが、まさしくその通りなのだ。

 目で見るポルノは、ほとんどが男性を対象としている。しかし、インターネットを使って、安心して官能的な楽しみを得ている女性も急速に増えている。洋の東西を問わず、多くの国々で、性に関係したオンライン活動がごく当たり前のものになり、男性も女性も、ほとんどの人が性的目的でインターネットを使っている。人類史上、「性」がこれほど飛躍的に進歩したことがあっただろうか? 現代人は、ポルノ動画サイトに行けば、19世紀ビクトリア朝時代のもっとも好色な男が一生の間に見るヌードの数よりさらに多くのヌードを、たった1分間で見ることができる。おまけに、もっと画期的な進歩もある。現代人は、他人とまったく接触しなくても、ポルノを手に入れられるようになったのだ。

 ひと昔前は、レンタルビデオ屋のアダルトコーナーをウロウロするなんて、とても恥ずかしくてできなかった女性たちも、今では、人に知られずに安心して官能的な楽しみを追い求めることができる。ひと昔前は、保守的な地域社会のなかで孤立していたゲイたちも、今では、座ったままで刺激的なコンテンツをいくらでも見て回ることができる。携帯電話を使って、電車のなかでポルノを見ることもできるし、オフィスの洗面所でこっそり見ることもできる。世界の何億人もの人々が、ちょっと頭を使い、クリックし、キーボードを叩くだけで、もっとも人に知られたくない官能的欲望を、匿名のまま、思う存分満たすことができるのだ。

【参考記事】ネット接続の大人のおもちゃで2人のヒミツがダダ漏れに

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 6
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 10
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中