フランス大統領選決選投票、ルペンは「手ごわく危険な対抗馬」
5月7日に予定される決選投票で、2大政党の支持層を囲い込む力があり、勝利を収めそうなのはマクロンの方だ。だがルペンに勝ち目はないと判断することを、疑問視する専門家もいる。
ルペンはマクロンにとって「非常に手ごわくて危険な対抗馬だ」とコロンビア大学のアイリーン・フィネル・ホニマン准教授(ヨーロッパ経済史)は指摘する。「追いつめられたルペンは、なりふり構わず立ち向かうはずだ」
ただし、自国第一の極右主義を標榜する彼女の主張を一部の有権者が受け入れるとしても、経済政策は「ほとんどが支離滅裂」だ。マクロンが勝機を広げられるのはそこだ。つまりフランスがグローバル経済から手を引けば、置き去りにされた労働者層はさらに逼迫するのだと、有権者を説き伏せればよい。ただし彼は既存政党の後ろ盾なくして、それをやってのける必要がある。それも1年前に「前進!」の結成にこぎつけたばかりの身で。
異例の勢力図
逆に決選投票から姿を消したのは、過去何十年もフランスの政治を動かしてきた主流派の2大政党だ。フランスの有権者の政治への関心の高さは健在で、今回の第1回投票も日曜午後の時点で投票率が69%に達した。だが既存政党の政治家にうんざりしている有権者は、共和党と社会党の現職議員を敬遠する(支持率が1ケタ台に落ちた社会党のフランソワ・オランド大統領は、そもそも立候補を見送った)。
伝統的な左右の既存政党は機能不全に陥っていると、ルフェビュールは言う。フランス人にとって「自分たちがどの政党を支持するかは、もはや重要でなくなった」。
2大政党が擁立した大統領候補が敗退したのを見ても、その傾向は明らかだ。つい数カ月前には次期大統領の最有力候補と目された共和党候補フランソワ・フィヨンも、選挙戦終盤で大躍進した極左・左翼党の古参ジャンリュック・メランションに肉薄されて力尽きた(フィヨンは選挙中、100万ユーロに上る妻子の架空雇用疑惑で訴追されて支持率が伸び悩んでいた)。社会党候補のブノワ・アモン前国民教育相も、得票率わずか6.5%だった。