最新記事

アメリカ経済

「メイド・イン・アメリカ」 価格競争で労働者をロボットに置き換え

2017年4月23日(日)11時47分


ロボットを再び偉大に

ラストンにあるモンスター・モトの広い倉庫の様な工場では、数十人の作業員が、短いが複雑な組み立てラインで働き、箱詰めされた輸入部品をバイクに組み立てている。

ビリー・マハフイという名前のひげの長い作業員が、一人でバイクのエンジンをふかしてエンジンやブレーキのテストを行い、その後、数人の作業員が完成したバイクを「米国組み立て」と書かれた箱に入れていく。

その箱書きの効果もあり、ウォルマートなどの大口顧客からの需要が足元で拡大している。同社は、生産を8万台に倍増させ、時給13─15ドルで働く組み立て工場の従業員数を、2017年の約40人から、100人へ増やす予定だ。

モンスター・モトが、アメリカで最初に製造できそうな部品は、バイクやゴーカート用の黒色の金属フレームだ。だがそのために溶接工を雇えばコストがかかりすぎるため、生産を自動化する必要がある。

「コスト構造をぶち壊すことはできない。米国で(フレーム生産を)実現する唯一の方法はロボットだ」と、モンスター・モトのリック・スカール最高執行責任者(COO)は言う。

同じ理屈は、米自動車部品のデルファイ・オートモティブのような、より大きなメーカーにもあてはまる。同社のジョー・マッサーロ最高財務責任者(CFO)は2月、アナリストに対し、同社の時給払い労働者の90%が「コスト的に最善な国にいる」と指摘。

メキシコから米国への生産拠点の移転について質問されると、マッサーロCFOは、貿易ルールへの改変次第で、「労働条件の格差を考えれば、(米国生産は)オートメーション化された製造作業にならざるを得ない」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏「非常に生産的」、加首相と国境・貿易・エ

ビジネス

アングル:スマホアプリが主戦場、変わる米国の年末商

ビジネス

焦点:不法移民送還に軍動員へ、トランプ氏の構想は法

ワールド

カナダ首相がフロリダ訪問、トランプ氏と会談へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていたのか?
  • 2
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 3
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える新型ドローン・システム
  • 4
    白昼のビーチに「クラスター子弾の雨」が降る瞬間...…
  • 5
    「すぐ消える」という説明を信じて女性が入れた「最…
  • 6
    LED化を超える省エネ、ウェルビーイング推進...パナ…
  • 7
    バルト海の海底ケーブルは海底に下ろした錨を引きず…
  • 8
    真っ赤な「溶岩の海」が翼のすぐ下に...飛行機からア…
  • 9
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 10
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 3
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 4
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 5
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式ト…
  • 6
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていた…
  • 7
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 8
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 9
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 10
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中