「メイド・イン・アメリカ」 価格競争で労働者をロボットに置き換え
こうした傾向はすでに、ワシントンを拠点とする経済政策研究所のデータにも表れている。同研究所のシニアエコノミスト、ロバート・スコット氏によると、米国は1997年から2014年にかけて、全体の23.5%にあたる8万5000の工場を失っただけではなく、1工場当たりの従業員の平均人数も14%減少して44人となった。
スコット氏によると、従業員の減少はオートメーション化によるところが大きい。
「すべての企業にとって経済的に合理的であり、この国ではさらにオートメーション化が進むだろう。嘆き悲しんでも、状況は変わらない」と、ボストン・コンサルティングのマネージング・ディレクター、ハル・サーキン氏は話す。
生産をオートメーション化すれば、必要な労働者数は減るが、ロボットのプログラマーやオペレーターなど、よりスキルの高い労働者が必要になると製造各社は語る。全米製造業協会(NAM)の推定では、こうした「スキル・ギャップ」により、1200万人以上を雇用する業界内で、35万の欠員が生まれているという。
ラストンのロニー・ウォーカー市長は、同市の経済の多様化を狙っており、モンスター・モトにリース保証を行うことで、その成功に賭けている。組み立て工場周辺にサプライヤーが移転することを見込んでいるからだ。
「製造業を取り戻すには時間がかかるだろうか。もちろんだ」と、ウォーカー市長は言う。「しかしどこかで始めなければならない」
(翻訳:山口香子 編集:下郡美紀)