フランス大統領選、新労働スタイル「ギグ・エコノミー」が争点に
門戸開放
トムソン・ロイター・データストリームのデータで見ても、VTCセクターの起業件数と雇用創出は群を抜いている。15年以降で同セクターの起業・廃業比率は20対1、経済全般は9対1だった。
消費者も恩恵を受けており、タクシー料金の上昇率は3年前に4%近くだったのが今では0.2%に鈍化。1月の物価全般の上昇率は1.6%だ。
政府当局は、ギグ・エコノミーが労働市場から締め出されていた人たちに機会をもたらしていると指摘。マクロン氏も選挙戦でこの点を主張し、「個人事業主の運転手の方たちは以前何をしていたのか。彼らはタクシー運転手ではなかった。つまり職がなかったのだ」と述べた。
さらにマクロン氏は、現在のフランスの社会モデルは、正規雇用契約をしている「インサイダー」の保護を、「アウトサイダー」への門戸開放よりも重視していると批判した上で、失業につながるこうした構造の打破を訴えた。
これに対してルペン氏は、タクシー運転手など既存の専門職を新参者から積極的に守るキャンペーンを展開している。テレビインタビューでは「今はっきりしているのは、この競争は不公平で違法であるということだ」と強調した。
ルペン氏は、ウーバーがフランスでの納税額を増やす方策を講じるなどと約束し、ウーバー進出で所得が減ったタクシー運転手の支持獲得に努めている。
(Michel Rose記者)