フィリピンパブの研究者がホステスと恋愛したら......
つまり、当初はダンスや歌手などの試験に合格し、フィリピン政府から「芸能人」と認定してもらえなければ来日できなかったということ。フィリピンホステスは歌やダンスがうまいといわれるのは、そんな経緯があったからだという。ただし現在は、状況が異なるようだ。
興行ビザは2005年に規制され、今では興行ビザで出稼ぎに来るフィリピン人はほとんどいない。そのため、パブで働いている若いホステスは、裏の組織の手配で日本にやってきている。(24ページより)
だから、指導教官がすぐにやめろと止めた理由もわからないではないのである。
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ちなみに、フィリピンパブが中年男性の支持を集めることについては、明確な理由があるそうだ。常連の典型は「子どもは独立、離婚して独身、自由になる金がそれなりにある50~60代の現役男性」で、ここではその例として「クロダさん」という男性の発言が引用されている。
クロダさんは、自分がフィリピン人にモテるタイプだと思うという。
「日本人の若い子がいるキャバクラだと、オレみたいなおっさんは相手にしてくれない。でもフィリピンパブは違う。オレでもモテるんだ」(66ページより)
でも残念ながら、そして当然ながら、ホステス側の考え方はやや異なる。
フィリピンパブで働く、ミカのようにマネージャーとの契約がある契約ホステスは、売上ノルマをクリアしなければならない。マネージャーとの間に契約がないフリーのアルバイトホステスも日本での生活費や、フィリピンへの送金があるから、一生懸命、面倒な客でも、うまくかわしながら店に来てもらおうとする。(67ページより)
クロダさんのようなおっさんが聞いたらがっかりしそうな話だが、しかし結果的に双方が満足できる関係が構築されているのだから、それはそれでいいのかもしれない。
ところで、著者は愛知県春日井市出身で、本書の舞台になっているのも名古屋である。名古屋は風俗が盛んで、フィリピンパブが多いことでも知られる。本書によれば、愛知県が工業地帯であることも、フィリピンパブの客に中年男性が多い理由のひとつだ。
トヨタをはじめとする大企業のサラリーマンは接待という名目で、会社の経費を使って高級クラブやキャバクラに行くことができる。それに対し、フィリピンバブに通う客は高給取りではなく、建設現場の労働者やタクシー運転手、従業員数人の会社の社長さんが大半だというのだ。
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