トランプ米大統領が議会演説、移民制度改革や減税表明
2月28日、トランプ米大統領は、上下両院合同会議で演説し、幅広い移民制度改革に言及したほか、中間層向けの大幅な税負担軽減や法人税減税を実施すると表明した。写真は演説する同大統領(中央)。ワシントンで撮影(2017年 ロイター/Jim Bourg)
トランプ米大統領は28日、上下両院合同会議で演説し、幅広い移民制度改革に言及したほか、中間層向けの大幅な税負担軽減や法人税減税を実施すると表明した。
演説では、税制改革を通じた景気浮揚や1兆ドル規模のインフラ投資、医療保険改革法(オバマケア)の見直しなど、国内の課題に重点的に取り組む考えを強調。移民制度改革については、不法移民への厳しい言葉を避け、選挙期間中や就任直後の姿勢に比べ落ち着いた演説内容となった。
税制改革では、法人向けの減税と中間層に向けた「大幅な」税負担軽減措置について政権で検討していると表明。ただ、詳細には踏み込まず、国境調整税にも言及しなかった。
移民制度に関しては、議会の共和・民主党が妥協すれば、幅広い改革が可能だと指摘。また、職業能力の低い移民に依存するのではなく、能力主義の制度へと見直すべきとの考えを示した。
包括的な移民制度改革は、議会内や国民でも意見の隔たりが大きく、過去2代の政権下では実現しなかった。トランプ氏は、改革によって賃金が上昇し、家計が苦しい家庭は中間層入りが可能になると主張し、「米国民の雇用・賃金の改善、安全保障の強化、法の尊重という目標を重視する限り、前向きな移民改革は可能だ」と述べた。
メキシコとの国境に壁を建設する方針もあらためて示したが、メキシコの費用負担には触れなかった。
法廷争いに発展したイスラム圏7カ国からの移民制限に代わる新たな大統領令を念頭に、「米国の安全を守る新たな措置を近く講じる」とも述べた。
外交政策については、北大西洋条約機構(NATO)への支持を約束したが、他の加盟国が自国防衛の費用負担を拡大すべきだと強調した。
また「利害が一致する場合、米国は新たなパートナー関係を築く用意がある」とした上で、「戦争や対立ではなく、調和と安定を望む」と述べた。直接的な言及は避けたものの、ロシアとの関係改善の意向を示唆した可能性がある。