最新記事

暗殺事件

金正男暗殺事件、マレーシア首相が北朝鮮を暗に批判 対立が鮮明に

2017年2月21日(火)07時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

マレーシア側を非難するカン北朝鮮大使 REUTERS - Athit Perawongmetha

<金正男の暗殺事件発生直後は遺体引き渡しなどで北朝鮮に協力的な姿勢を見せたマレーシアだが、次第に北朝鮮と距離を置くようになっており、20日にはマレーシア側が北朝鮮から大使を召還するなど、両国のみぞが深まりつつある。その一方、容疑者として逮捕された北朝鮮国籍の男の素顔が分かってきた──>

12日にマレーシアのクアラルンプール空港で、北朝鮮の金正恩総書記の異母兄、金正男が暗殺された事件が発生してから1週間が経ち、次第にマレーシアと北朝鮮の間の対立が目立つようになってきた。

韓国メディアのイーデイーリーによれば、この間、在マレーシアのカン・チョル北朝鮮大使は17日、金正男の遺体があるクアラルンプールの病院前で記者たちに向かって「マレーシア政府が敵対勢力と結託して何かを隠そうとしている。検視の結果を信じることは出来ない」と語り、遺体の即時引き渡しを求めたのにもかかわらず検視が行われ、引き渡しも応じられないままになっていることに対する不満をぶつけていた。

これに対して、マレーシア政府は20日、カン北朝鮮大使を外務省に呼び「(17日の)カン大使の批判はいわれのないものだ」と抗議し、さらに平壌の自国大使を召還した。なお、

マレーシア政府の呼び出しから戻ったカン北朝鮮大使は、記者団に向かって「マレーシア政府と韓国政府が結託して、北朝鮮が背後にいるように見せかけている。マレーシア警察は昨日の記者会見で虚偽の主張をした。捜査結果を信じることができない」と語り、マレーシアは我々と合同捜査を行わなければならない」と語り、マレーシア側を厳しく批判した。

さらにカン北朝鮮大使は続けて「大使館はすでに死亡者がパスポートに記載されたキム・チョルと確認したが、マレーシア警察は死因と容疑者の犯行容疑を確認できないまま、北朝鮮に敵対的な勢力が主張する死亡者の別の名前(金正男)に注目を集めた」と指摘した。北朝鮮側は、キム・チョルと金正男が同一人物ではないことを強調しようとしているのだ。

カン北朝鮮大使は「今回の死亡事件が自然要因によるものではなく、マレーシアにいた北朝鮮国民が殺害されたものであり、責任は完全にマレーシ側にある」と強くマレーシア側を批判した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送-アングル:米国防総省、ヘグセス長官のずさんな

ビジネス

EV充電規格、障壁なら議題の遡上に 今後精査=日米

ビジネス

ダボス会議創設のシュワブ会長が辞任、米関税政策が一

ビジネス

NY連銀、市場部門責任者にアンナ・ノードストロム氏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 2
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボランティアが、職員たちにもたらした「学び」
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 5
    遺物「青いコーラン」から未解明の文字を発見...ペー…
  • 6
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 7
    「アメリカ湾」の次は...中国が激怒、Googleの「西フ…
  • 8
    パウエルFRB議長解任までやったとしてもトランプの「…
  • 9
    なぜ? ケイティ・ペリーらの宇宙旅行に「でっち上…
  • 10
    コロナ「武漢研究所説」強調する米政府の新サイト立…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 7
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 8
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中