フィリピン麻薬戦争、韓国人殺害でドゥテルテ大統領が急ブレーキ
開発援助の点では、韓国はフィリピンにとって第5位の援助国であり、2015年には、電力、観光、エレクトロニクス製造といった分野に5億2000万ドルを投資している。
また、韓国では約5万5000人のフィリピン人労働者が働いている。フィリピンは英語を学ぶ韓国人の留学先にもなっており、その数は昨年3700人を超える。
マニラ駐在の韓国外交官は、今回の殺害事件に関してフィリピン政府に対する脅しや圧力はまったくないとしながらも、韓国政府は、自国市民の安全確保と安心できる投資環境を求めているという。
在フィリピン韓国商工会議所のホイク・リー所長は、フィリピン国内の韓国人は不安を募らせていると語る。
1995年に20社だった同商工会議所の加盟企業数は現在、サムスン電機<009150.KS>や韓進グループ、LG電子<003550.KS>を筆頭とする500社にまで増加。ただ、フィリピンの経済展望が明るいにもかかわらず、同国の韓国人コミュニティーは2013年以来、約3分の1減少して10万人程度になっている、と同所長は推定する。
「警察は私たちを殺すのではなく、守るべき存在だ」とリー所長は言う。「だからこそ、私たちは非常に動揺し、ショックを受けている」
韓国外務省によれば、フィリピンで殺害される韓国人は年間約10人で、海外で殺される韓国人の3分の1に相当する。
ただし警察の刑事犯罪捜査課によれば、フィリピン在住の韓国人は犯罪の被害者であるのと同じ程度に加害者にもなっているという。同課には韓国人担当デスクが置かれており、誘拐、殺人、強盗、窃盗、強要、詐欺といった事件を処理している。主に暴力団が活動している韓国人コミュニティー内部で起きた事件だという。
(翻訳:エァクレーレン)
[マニラ 13日 ロイター]