長嶺大使帰国から1か月 釜山少女像問題は解決するか?
「反日感情を悪用する従北左派扇動団体を告発する」(今は許しを!今は和解を...)
韓国メディア・世界日報によるとこの活動を行っているのは少女像が設置された釜山市東区の住人の崔(以下、チェ)氏で、「少女像制作の趣旨は賛成するが、日本の公館の前に設置したのは誤りだと思う。この設置により被害を受ける在日韓国人などもいるわけで、少女像は移転しなければならない」と語っている。
またチェ氏は「反日感情が強いが、反対意見を述べる権利も尊重されなければならない。私の貼るビラを市民団体側がずっと剥がすようなら、今後法的対応を検討する」と述べた。
もちろん、少女像を設置した市民団体側も、だまってはいない。釜山市東区側に、チェ氏による不法ビラを取り締まるように要請したが、厳密にいえば少女像の設置そのものが違法行為にあたるため、釜山市東区側はだんまりをきめている。先月31日には、少女像の適切な管理について市民団体と釜山市東区側とで協議する常設委員会を設置したが、今回のビラ問題についての対立から会議の日程すら決められない状態になっているという。
外交では共通の課題をもつ日韓両国
事態解決の手がかりさえないまま、混迷の度が深まってきた釜山の少女像問題だが、日韓両国とも、外交では駐留米軍の経費負担見直しなどの米トランプ政権の突きつけてくる要求や、極東海域における中国軍の勢力拡大にどう対応していくのかなど、共通した課題が多いことは明らかだ。これらの外交上の問題に日韓両国が連携して対応すべき時なのに、釜山の少女像の問題が足かせとなって、日韓両国は国益を損ねかねない状態にある。
今後の展開としては日韓両国とも16〜17日にドイツ・ボンで開かれるG20外相会議、17〜19日に開催されるミュンヘン安全保障会議に岸田外相と韓国のユン・ビョンセ外交部長官が参加し、少女像問題の解決に向けて会談を行うのではないかと予想されている。実はこのタイミングを逃すと、2月22日には島根県で「竹島の日」の式典、3月には日本から「竹島は日本の領土」と明記した学習指導要領が、また韓国では慰安婦問題を理解するための副読本がそれぞれ出てくる予定で、日韓関係にマイナス要素がさらに増えてしまう。
果たして釜山の少女像問題が2月中に解決して、日韓両国の関係改善が図れるか、それともタイミングを逸して韓国側が外交問題に対応する余裕がなくなる大統領選挙にまで突入してしまうのか......。今後の両国の交渉の行方が注目される。