長嶺大使帰国から1か月 釜山少女像問題は解決するか?
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<韓国・釜山の日本領事館前に慰安婦問題の象徴とされる少女像が設置され、日本政府が長嶺安政・韓国駐在大使を一時帰国させてから9日で1か月を迎えた。日韓両国政府ともに事態解決の糸口が見いだせないまま膠着状態に入ってしまった>
日韓両国政府による慰安婦問題合意に反発した釜山の「未来の世代が立てる平和の少女像推進委員会」という市民団体が、昨年12月28日、釜山の日本領事館前に慰安婦問題の象徴ともいえる少女像を突然設置した。
当初、設置場所である釜山市東区側は公共の場所への設置は認められないとして少女像を撤去したが、市民達からの抗議が殺到すると少女像を市民団体に返還。設置についても「市民団体が設置するのを妨げない」と方針を翻した。こうして12月30日市民団体側は、再度、釜山の日本総領事館前に少女像を設置した。
日本政府は、この少女像を「ウィーン条約に既定する領事機関の威厳などを侵害するものと考えている」と指摘して、撤去することを韓国政府に求め、
1)在釜山総領事館職員による釜山市関連行事への参加見合わせ
2)駐韓大使や在釜山総領事の一時帰国
3)日韓通貨スワップ取り決め協議の中断
4)日韓ハイレベル経済協議の延期
を決定した。
こうして日本政府は1月9日、長嶺大使を一時帰国させた。当初は2週間前後になると予想された一時帰国だったが、すでに1か月となった。これは、2012年に李明博(=イ・ミョンバク)大統領が竹島(韓国名・独島)を訪問した際に抗議の意味で武藤正敏大使が12日間一時帰国したことと比較しても異例の長さだ。