IoTで農作物ロスの削減を目指せ
農作物の貯蔵における課題
農作物貯蔵のプロセスはトリッキーだ。ほとんどの作物はサイロのような金属製のコンテナに大量に貯蔵される。その状態は温度や湿度、虫害に左右されやすい。
こういった課題に対し、これまでは農家が直接出向いて確認をおこなっていた。科学的と言えるものではなく、虫害は特に大きな問題であった。
虫に作物を食い荒らされるだけでなく、貯蔵庫の湿度が上がることでさらに被害は広がる。典型的な処置としては、ホスフィンなどの燻蒸剤の使用で、数日から1週間燻蒸処理されることになるとバンタスは説明する。
「燻蒸剤はタバコから花、穀物から果物などあらゆる類の作物に使われますが、その使用状況はこれまでモニタリングされていませんでした」
燻蒸剤の使用により問題は解決できるが、もしコンテナの温度が低すぎたり投与量を誤ったり、適用時間が短すぎたりした場合、虫は耐性を得て薬が効かなくなる可能性があるとバンタスは言う。また彼は、多くの農家で燻蒸剤の投与量が足りていなかったり投与期間を記録せずに使用していることを明らかにした。
Centaur社は、コンテナ内の作物の状況をモニターする商用ワイヤレスセンサーを開発した。従来型のセンサーの多くは、農作物を保管するためによく使われる金属のコンテナ内からデータを送信できないことを考えると、これは画期的なことである。
休みなく送られるデータに昆虫学に基づいたモデルが適用され、予測的分析が農家に届けられる。重要な点は、センサーがあることにより、作物は船積みから陸運までの数週間から数ヶ月に渡る、さまざまな段階でモニタリングされることだ。
「このシステムにより農家は燻蒸剤の使用や害虫コントロールに事前の予測を立てて対応することができるようになり、農作物が安全に、きちんと消毒されることを確実なものにできるでしょう」と、バンタス博士は説明する。
また、このセンサー技術による温度のモニタリングでも解決される問題がある。「温度が上昇している場所の監視も可能になります。温度が上昇する場所が発生するのはたいていの場合、虫の侵入や腐食が発生したことを意味し、それを初期段階で検知し対策をとることができます」