IoTで農作物ロスの削減を目指せ
ReadWrite[日本版]編集部
<肥沃な大地と降り注ぐ太陽、そして天からの恵みの雨......。こうした人の手ではコントロールできない要素を組み合わせて行われる代表的なものが農業だ。IT化からもっとも遠い世界だと思われていた農業だが、近年ここにもIoTの導入が進みつつある>
農学者や昆虫学者を抱える技術系スタートアップ企業に出会うことはそれほど多くはないだろう。
IoTが素晴らしいことの1つに、技術を使ってこれまで何百年も業界が苦しんできた問題を解決できることが挙げられる。たとえば、農業における「食糧廃棄物」の問題だ。
国連食糧農業機関(FAO)のデータによると、農場から店舗、そして食卓に上るまでのプロセスで、年間およそ1兆ドルの作物が収穫後に無駄になっているという。ヨーロッパなど技術的に進んでいる地域でさえ、こういった無駄は10%以上にのぼり、アフリカや工業化が進んでいるアジアなどの途上国でもこの割合は高くなる。このような廃棄物は、原材料として保存している時や、加工時、輸送時などいたるでも起こる。
この課題にIoT技術で立ち向かうのが、Centaur Analytics社だ。農作物の保存状態をリアルタイムで監視し、適切に管理するIoT技術をトータルで提供する会社である。かれらは貯蔵品の品質と安全性を保つためのIoTソリューションの開発と営業をおこなっている。その目標は収穫後のロスを減らし、農場から食卓へ上がるまでの無駄をなくすことだ。
Centaur Analyticsの共同設立社・最高経営責任者(CEO)のソティリス・バンタス博士と話をする機会があった。彼は自分たちの役割について次のように説明する。
「世界中で農作物の生産量の約1/3が無駄になっており、アフリカなどの途上国では害虫などでさらに多くの被害を出しています。途上国では収穫された農作物の17%が捨てられるか、家畜の餌やバイオ燃料になっています。我々は農学者や昆虫学者など各分野の専門家とともに、監視センサーやソフトウェア分析などによるソリューションを考えています」