NAFTA再交渉、自動車の「原産地」厳格化めぐり議論再燃か
1月23日、米大手自動車メーカーは米国内で販売する利幅の大きい一部人気車種をメキシコから輸入しているため、トランプ新政権が北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に入ると表明したことで、自動車の原産地規則を巡る議論が再燃しそうだ。写真は、ミシガン州デトロイトの北米国際自動車ショーで8日提供されたシボレー・トラバース2018年モデルの写真(2017年 ロイター/Chevrolet/Handout via REUTERS)
米大手自動車メーカーは米国内で販売する利幅の大きい一部人気車種をメキシコから輸入しているため、トランプ新政権が北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に入ると表明したことで、自動車の原産地規則を巡る議論が再燃しそうだ。
トランプ大統領は23日、適切な時期にメキシコとカナダの両国首脳と会談し、NAFTAの再交渉に着手すると述べた。24日にはゼネラル・モーターズ(GM)など米大手自動車メーカー3社のトップをホワイトハウスに招き、朝食会を開く。
自動車業界の関係者は、トランプ大統領がカナダとメキシコに対して原産地規則を厳格化し、輸入関税をゼロにするために必要な域内部品調達比率を引き上げるよう求めるとみている。NAFTAでは乗用車とライトトラックの場合、原産地が米国、カナダ、メキシコの域内であると認められるには最低62.5%の域内調達比率が必要。
米政府は別途、1992年以来、米国とカナダで製造された自動車を米国で販売する場合に域内調達比率の表示するようメーカーに義務付けている。自動車ラべリング法に基づく2016年分の報告によると、GMの「シボレー・トラバース」とホンダがオハイオ工場で製造した「アコード」は米国製とカナダ製の部品の調達比率が80%となっている。フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)<0QXR.L>のピックアップトラック「ラム」は59%。
トランプ大統領はNAFTAの見直しについて具体的な提案は示していないが、製造業者に対しては国産の部品購入や国内での生産を増やすよう求めている。
自動車メーカーは現状維持で得るものが非常に多い。GMは昨年、フルサイズピックアップトラック「シボレー・シルバラード」とピックアップトラック「GMCシエラ」のメキシコからの輸入が合計で約31万5000台だった。これは利幅の大きい両モデルの米国内での販売台数全体の約40%に当たる。コンサルタント会社LMCオートモーティブのデータによると、GMは国内販売の14%をメキシコ製造車が占めている。