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貿易メキシコ、NAFTA原産地規制変更で対米妥協模索
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1月24日、トランプ米大統領が再交渉を表明している北米自由貿易協定(NAFTA)について、メキシコは「原産地規則」の変更で米国と妥協する道を模索している。写真はメキシコのペニャニエト大統領。メキシコ市で23日撮影(2017年 ロイター/Edgard Garrido)
トランプ米大統領が再交渉を表明している北米自由貿易協定(NAFTA)について、メキシコは「原産地規則」の変更で米国と妥協する道を模索している。複数の政府高官や関係者が明らかにした。
原産地規則は、さまざまな製品の現地調達比率の基準。まだNAFTAの再交渉が正式に始まったわけではないが、最終的には米国産業を、特にアジアなど北米以外の地域の同業者よりも優遇するよう原産地規則が修正される可能性もある。
こうした修正により、メキシコは米製造業の雇用拡大を目指すトランプ政権と足並みをそろえられる上に、北米地域の競争力強化という自らの要求も満たすことができる。メキシコ政府としては、通商面で妥協にこぎ着けられれば、国境の治安や移民といった問題で米国と合意に至る道も開かれるとの計算も働いている。
あるメキシコ政府高官は、トランプ政権が誕生した以上、米国との交渉ではNAFTAの原産地規則を巡る話し合いが今後「非常に重要」になるとの見方を示した。
メキシコのビデガライ外相とグアハルド経済相は25─26日に米政府と通商や移民に関する協議を行う。
メキシコはNAFTAの全面的な見直しには消極的だが、米国市場への輸出を続けていくためにはいくつかの事項の修正は必要かもしれない、と政府高官も認めている。同国の輸出先を国別で見ると、米国が80%を占める。
ビデガライ氏は「われわれが望むのは、メキシコ製品が(米国に対して)制限や関税、割当枠などを設けられず自由にアクセスする立場を維持することだ」と強調した。
メキシコ政府高官2人と事情に詳しい関係者4人の話では、トランプ政権との交渉で妥当な着地点に達することができるとすれば、原産地規則がその鍵の1つになるというのがメキシコ側の考えだ。
NAFTAのルールでは、メキシコで製造された乗用車と小型トラックが米国向け輸出の関税を免除されるためには、北米地域における調達比率62.5%という基準をクリアしなければならない。米国とメキシコがこの比率を引き上げることに合意すれば、米国産業はアジア勢よりも有利になる。
メキシコとしても、トランプ氏が示唆しているように自国内の外国企業が米国向けに生産した一部製品に35%の関税をかけられるよりも、原産地規則を変更する方がましだ。
2人の関係者は、原産地規則変更の動きの背後には、中国からの輸入を減らせると考えるトランプ政権の働き掛けもあると打ち明けた。
メキシコに進出している外国自動車メーカーのうち、現地調達比率が引き上げられた場合に他社よりうまく対応できそうなのはトヨタ自動車<7203.T>かもしれない。例えば乗用車「カムリ」は北米地域と米国の部品調達比率が非常に高い。一方でマツダ<7261.T>など他の日本勢は、アジアのサプライヤーへの依存がより大きい。
センター・オブ・オートモーティブ・リサーチの労働アナリスト、Kristin Dziczek氏は、原産地規則を厳格化すれば、米国の雇用にある程度のプラス効果をもたらし、外国自動車メーカーは特に部品などを北米以外で生産しているなら激しい打撃を受けると予想した。
(Dave Graham記者)
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