訪米したメイ首相にも二つの顔――中国CCTVで春節の挨拶
ロシアのプーチン大統領が、中国に迎合する、こういったビデオ・メッセージを出さなかったのは、せめてもの救いだ。
それでもなお、取りこぼしてはならないとばかりに、CCTVはロシアやベトナム、マレーシアなどにいる華人華僑による「四海迎新春」を報道した。中国の文化部や国務院僑務弁公室などが主宰し、関係国に呼びかけたものである。
中国にとって春節の行事は強い政治色をもって綿密に計画されている。
メイ首相が中国のその思惑に乗っかってしまったことは、何とも残念。
EUに加盟していた時期から金融街シティを通して、中国に利用されっぱなしで、その結果多くの西側先進国をAIIB(アジアインフラ投資銀行)になだれ込ませる役割を果たしてしまったが、EUを離脱したいま、中国を一層頼りにし始めているのが見て取れる。
日本は、こういった動きを見逃さず、新しいトランプ体制に、戦略的に対応していかなければならないだろう。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。