最新記事

イギリス

訪米したメイ首相にも二つの顔――中国CCTVで春節の挨拶

2017年1月30日(月)06時42分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

訪米し、トランプ大統領と会談したイギリスのメイ首相 Kevin Lamarque-REUTERS

 イギリスのメイ首相は27日、中国春節のCCTV番組で国連事務総長やユネスコの事務局長ら同様、中国語を交えて祝賀の挨拶をした。トランプ大統領との会談後、米英関係の緊密さを強調しているが、彼女もまた二つの顔を持っている。

トランプ大統領就任後、初の首脳会談をしたメイ首相

 1月27日、訪米したイギリスのメイ首相はトランプ大統領とホワイトハウスで首脳会談を行った。トランプ氏が大統領に就任したあと、初めての外国首脳との会談だ。

 会談後二人は共同記者会見を行い、米英両国は最も「特別な関係」を続けるとした上で、貿易や軍事などにおける協力を強調した。

 EUを離脱したイギリスと、「アメリカ・ファースト」を唱えて保護主義に傾くトランプ政権には共通点がある。トランプ大統領はイギリスのEU離脱を礼賛し、メイ首相は米英の二国間貿易協定推進に意欲を見せた。

 ロシアに対する制裁に関しては温度差があるものの、トランプ大統領が最初に行なった首脳会談の相手としてイギリスを選んだのは象徴的だ。

 真っ赤なスーツに紺の曲線が走るスカーフでアクセントをつけたメイ首相のファッションは、いつもながらに抜群のセンスで、よどみなくスピーチし、紺の背広に赤いネクタイを締めたトランプ大統領と好対照をなして力強さをアピールした。

中国CCTVの春節特集で祝賀メッセージを述べたメイ首相


 そんなメイ首相だが、一方では1月27日に中国の中央テレビ局CCTVで報道された春節前夜の特別報道で、約3分にわたるビデオメッセージを送っている。

 そこでは主として以下のことが語られている。

●今年の中英関係はこれまでと違って一層重要で、私は再び訪中して習近平国家主席に会うつもりだ。
 
●英国国内外にいる中国人たちのイギリスに対する貢献には巨大なものがある。

●中英双方の関係は、どの時期よりも堅固だ。

●15ヵ月前に習近平主席は歴史的な訪英を遂げた。イギリスが中国から得た投資は、どのヨーロッパ諸国よりも多い。

●イギリスには15万人の中国人留学生がおり、この5年間で中国からの観光客は2倍に膨らんだ。中英関係はますます深まるばかりだ。

●今年は香港返還20周年記念、中英国交正常化45周年記念でもあるので、中英関係にとっては非常に重要な年だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏のロシア産原油関税警告、市場の反応は限定

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、突っ込み警戒感生じ幅広く

ワールド

イスラエルが人質解放・停戦延長を提案、ガザ南部で本

ワールド

米、国際水域で深海採掘へ大統領令検討か 国連迂回で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中