トルコはテロの連鎖を断ち切れるのか
テロをいかに食い止めるか
トルコにおけるテロは、表1にあるように2015年6月からの1年半で急増している。この背景には、2015年7月にPKKが2013年3月からトルコ政府と進めていた停戦交渉を破棄したこと、また、トルコ政府が「イスラーム国(IS)」に対して空爆を開始したことがあげられる。ISに関しては、基本的にトルコ人のISメンバーがトルコ人とクルド人の分断を狙ってクルド人を狙ったテロ、もしくは外国人観光客を狙ったテロが多い。
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しかし、今年6月末に起きたイスタンブルのアタテュルク国際空港でのテロのように、トルコのISメンバーではなく、外国人メンバーによる無差別テロにも警戒が必要である。このように、トルコ政府は対テロという観点では、現在、TAK、IS、トルコのISという3つの組織に対して最大限の警戒態勢を敷いている。
ボーダフォン・スタジアムでのテロを受け、与党の公正発展党、第2政党の共和人民党、第3政党の民族主義者行動党の間で対テロ対策に関する党首会談が12月14日に実施され、3党は対テロに関しては一致団結していくことを確認した。また、同日、エルドアン大統領が「全てのテロ組織に対する国民の動員」を宣言した。
これは、PKK/TAK、IS、7月15日のクーデタ未遂に深く関与していたと言われているギュレン運動、そして極左組織のDHKP-Cなどのテロは治安組織だけでは防ぎきれないので、情報提供など、国民1人1人が積極的に対テロ戦争に協力するという内容であった。このように、軍、警察、国家情報局(MİT)、そして国民が連帯してテロを防いでいくことが確認された。
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テロの頻発は観光業や為替などにも大きな影響を与える。トルコとPKKの抗争は最近激しさを増しており、ISとシリアのクルド勢力の駆逐を目的としたトルコ軍のシリア越境作戦(ユーフラテスの盾作戦)も継続している。そのため、ISとTAKは今後もトルコでテロを実施するだろう。そうしたテロを国家一丸となっていかに未然に防ぐことができるのか、トルコのテロ対策は正念場を迎えている。