流行語大賞から1年、中国人は減っていないが「爆買い」は終了
ツアーに参加する客はこうした苦行があることを知らない情報収集力が低い人か、あるいは知っていても個人旅行は面倒だと考える人たち。売り込みにも弱く格好のカモなのだという。
もっとも、日本のボッタクリ免税店については中国メディアでもたびたび報道され、その悪辣ぶりは次第に認知されつつある。いつまで勝ち組でいられるかは不透明な状況だ。
いずれにせよ、昨年から今年にかけての急変も驚きだが、今後もめまぐるしい変化は続くと予想される。なんともやっかいなマーケットだが、社会現象となったクレイジーな「爆買い」は終焉しても、中国人観光客のインバウンド需要が消えるわけではない。「爆買い」から普通のインバウンド需要に戻るだけだ。
長い目で見れば、中国人の可処分所得上昇と海外旅行需要が続くことは間違いないだけに、成熟した需要が堅調に伸びることは間違いない。インバウンド産業には短期の変化に一喜一憂しない、長期的な視点が求められている。
【参考記事】日本に観光に来た外国人がどこで何をしているか、ビッグデータが明かします
[筆者]
高口康太
ジャーナリスト、翻訳家。1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)。