アメリカ社会にへイトスピーチ蔓延、攻撃的トランプ発言が触発か
テイラー氏、ヒル氏その他のオルタナ右翼の関係者は、自分たちは破壊行為・暴力行為を支持・許容しないと言う。彼らは、自分たちの発言がヘイトスピーチであるという考えを否定し、彼らに対する左翼による悪口のほうがはるかにヘイトだと主張する。
合衆国憲法第一修正に見られる言論の自由に関する規定は、煽動的な言葉遣いに対しても幅広い保護を認めている。だが各州・連邦の法令は、法執行機関に対し、人種・民族・宗教・障害・性的志向に対する偏見に基づく「ヘイトクライム」を捜査・訴追する権限を与えている。
カリフォルニア州立大学の研究者らの記録によれば、昨年のヘイトクライム件数は6%増加しているが、ほとんどの少数派グループに対する攻撃という点では、基本的な変化は相対的に小さいことが分かる。だが、ムスリムに対するヘイトクライムは86%も増加している。
政治分野の研究者・実務家のなかには、今回の大統領選挙が始まるずっと前から、全般的に礼節の低下が始まっていると考える人もいる。
インディアナ州ハワード郡で共和党郡会長を務めるクレイグ・ダン氏は、少数派の過激な意見がインターネットやソーシャルメディア上で増幅され「全般的な礼節の崩壊」に拍車をかけていると語る。
地元の当局者は、自分たちのコミュニティにどのような影響が出るのかと懸念している。
地元の雰囲気は「より危険で、緊張が増している」と語るのは、ココモ市の民主党に所属するグレッグ・グッドナイト市長。落書きによる攻撃は非常にやっかいだ、と彼は言う。「この街でこんなことが起きるのは記憶にない」
自宅の庭に置いた民主党プラカードに「KKK」とスプレーで書かれたモニカ・ファウラーさん(43)は、こうした攻撃に苦しんでいる。「反対すること自体は構わない」と彼女は言う。「だが、他人を怖がらせたり、苦しめたりする行動を取ることは、考えられない」
(翻訳:エァクレーレン)
[ココモ(インディアナ州) 7日 ロイター]