日本人の「自信がない」は嘘、原因は「感染」にあり!?
たとえば「27 自信のある決断をする」では、プレッシャーから解放されることが必要だとして、決断を下す前に時間をとることを勧めている。著者によれば、プロポーズするかどうかを決めるには1週間くらい間を空けたほうがいいそうだ。その時間で、リサーチしたり、だれかに相談したり、あるいは、いったん忘れてリフレッシュしたり。そうすれば、自信をもって決断できる。
「30 経済的な自信」という項目もある。お金持ちになりさえすれば自信満々になれる、と考えている人もいるかもしれないが、著者に言わせれば、それは逆ということになる。富が自信を生むのではなく、自信が富を生む。お金についてしっかりとした信念と戦略をもち、適切な行動をとっていれば、それが経済的な自信につながり、結果的に富を手にすることができるのだ。
もちろん、これらすべてを実践しろというわけではなく、目次を見て、自分に必要な項目を拾い読みすればいい。そして、やれることから実践していけば、自信をもてる場面が増えていくことになる。
コメディアン曰く、ダメなところを真剣に考えない
本の後半には、「38 自信のある起業家」や「41 自信のあるスピーカー」「44 自信のある教師」など、一見、特定の人にしか役に立ちそうにない項目が並んでいる。とくに「43 自信のあるコメディアン」は、一体どれくらいのニーズがあるのか、なぜわざわざ項目を設けたのか疑問に思えてくるほどだ。
しかしながら、読んでみると「なるほど」と思わされる。たとえば起業家なら「ニッチを知る」「やらないことを明確にする」「バランスをうまくとる」という3つのテクニックが紹介されているが、たしかに、これらを実践できている起業家なら自信満々だろう。言い換えれば、こうした点をおろそかにしていることが自信のなさにつながる、ということではないだろうか。
つまり、「落とし穴」を埋めておくことも、いつでも自信を引き出すための重要な鍵になるのだ。そして、このことは起業家だけに役立つアドバイスではない。
「43 自信のあるコメディアン」では、著者のニュージェントではなく、実際にコメディアンとして活躍していたこともある人物(たぶん、あまり有名ではない)が、この項目のコーチとなっている。そうした項目は他にもいくつかあって、そのため項目ごとに詳細なテクニックやアドバイスが紹介されている点は、本書の特徴と言えるかもしれない。
そして、コメディアンの何が私たちに役に立つのかといえば――「人々を笑わせるためにステージに上がることほど自信を必要とするものはない。自分のことをとても面白い人だと期待している会場中の人を笑わせるのは、控えめにいってもぞっとする」(p.219)。たしかに。彼らのテクニックとは「OKじゃないけどOKになる(=OKじゃない状態になっても冷静でいる)」「ダメなところを真剣に考えない」など。なるほど。前者は、本来の能力とは切り離された自信を育てる秘訣であり、後者は、どんなときでも自信を見失わないためのヒントだ。