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フィリピン比上院議員、ドゥテルテを大量殺人や人道に対する罪で告発
日本に出発するドゥテルテ(10月25日) Erik De Castro-REUTERS
<中国で歓待を受け、今夕訪日するドゥテルテを、人道に対する罪で国際機関に告発する動きがフィリピンで表面化。ドゥテルテの人権侵害を批判して関係を悪化させたアメリカの手前もある日本は、どう対応するのか>
長年、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領の麻薬対策を批判してきたフィリピンの上院議員が、国際機関に対して「麻薬戦争」の本格捜査に乗り出すよう訴えた。麻薬撲滅の公約を掲げたドゥテルテが大統領に就任してから4カ月間で、3800人以上の容疑者が殺害された。
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前法相で人権活動家のレイラ・デリマは、数百人規模の密売容疑者が裁判を経ずに現場で超法規的に殺害されていると伝わる「麻薬撲滅作戦」は、終わらせねばならないと述べた。その唯一の方法は、各国がフィリピンに制裁を課し、ドゥテルテと彼に近い議員らに対してICC(国際刑事裁判)が本格調査に乗り出すなど、国際社会が最も厳しい態度で臨むことだという。
「ICCは現時点で、すでにフィリピンの大量殺人に関する調査の開始や、人道に対する罪に問う可能性を検討し始めているべきだ」とデリマは英紙ガーディアンの取材で語った。
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デリマは、麻薬戦争とその非道な麻薬撲滅作戦を正当化するドゥテルテのレトリックによって、国内では自警のための殺人は容認されるという意識が芽生え、暗殺部隊が麻薬密売容疑者や麻薬常用者らを標的にしていると言った。
「ドゥテルテの言い回しは、単に彼独特の語り口だとか、誇張しているだけだといって見過ごすことができない。それを耳にする国民の側は、大統領が発する言葉として真に受けているのだから」
解任され狙われる告発者
デリマは麻薬対策に絡む大量殺人を糾弾するために公聴会を始め、上院の司法・人権委員長も務めたが、先月解任された。今、彼女は身の危険を感じている。先月下旬の下院公聴会の証言の中で彼女の個人情報が読み上げられてしまったからだ。きっかけは、ドゥテルテによる問答無用の取り締まりに対する批判の急先鋒となったことだ。
「数週間は自宅に戻れず、寝場所を転々とした。その後は家の様子を見に時々帰ったが、夜にはまるで泥棒のような気分になった」
「それ以上にひどかったのは、携帯電話番号が世間に知れ渡ってからというもの、2000件近くの憎悪に満ちたメッセージや殺害の脅迫まで受けたことだ」
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デリマは、ドゥテルテが彼女を見せしめにすることで、彼自身に対する国内の批判や反対派を抑え込もうとしていると指摘した。確かに、名の知れた上院議員を吊し上げておけば、今後は国内の反ドゥテルテ派もおじけづいて彼に刃向うことができなくなるはずだ。
麻薬戦争をめぐり、これまでドゥテルテは数々の発言で物議を醸してきた。先月下旬にはナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺(ホロコースト)を引き合いに、自身を「アドルフ・ヒトラー」になぞらえ、国内に300万人いるとされる麻薬中毒者を「喜んで殺したい」と述べた。
さらにアメリカが裁判もなく容疑者を殺害するのは国際法に違反すると糾弾すると、ドゥテルテはバラク・オバマ米大統領を「売春婦の息子め」「地獄に行け」などと罵った。