最新記事

ブラジル

リオは便乗商法が花盛り、五輪マークのコカインまで

2016年8月9日(火)09時50分

 8月2日、オリンピック記念のナンバープレートや、手作り刺繍入り五輪ハンカチはいかが。五輪マーク入りコカインはどうだろうか。これらはブラジル警察が摘発した海賊版グッズの例だ。写真は7月25日、リオデジャネイロで摘発された五輪マークの入ったコカインの袋。地元警察提供(2016年 ロイター/Sergio Moraes/Rio de Janeiro State Police)

 オリンピック記念のナンバープレートや、手作り刺繍入り五輪ハンカチはいかが。五輪マーク入りコカインはどうだろうか。

 これらはブラジル警察が摘発した海賊版グッズの例だ。夏季五輪開幕を5日に迎えるリオデジャネイロでは、五輪マークやマスコットなど、オリンピック・シンボルの無断使用が後をたたない。

 ブラジルでは、どんな商品でも、海賊版がトロピカル・フルーツ並みに簡単に手に入る。南米初となるオリンピックの盛り上がりに便乗して一儲けしようと、海賊版の製造販売が横行しており、主催者側は頭を悩ませている。

「便乗しようとする連中だ」。つい最近も20人の捜査チームを率いて街のあちこちで摘発を行い、ありとあらゆる五輪関連グッズの模倣品を押収したバレリア・アラガオン女性警部はそう語る。

 直近では、高齢の女性を摘発。この女性は「2016オリンピック」と刺繍したハンカチを、店のウィンドウに並べたところだった。

 麻薬対策班の押収物のなかには、密売人が五輪マークで装飾したレンガ状のマリファナ塊やコカインの包みまであったという。

「さまざまな業者が、スポーツ精神やオリンピックの価値観とはほとんど関係のない物を売っている」とリオ五輪の商品ライセンスや小売りを担当するシルマラ・ムルティニ氏は語る。

カネとスポーツ

 オリンピックは、もちろん、スポーツの祭典であるのと同時に、ビッグビジネスでもある。

 五輪グッズ販売の正当な分け前にあずかれるのは、大手多国籍企業であるコカ・コーラやマクドナルド、そしてブラジル大手銀行のバンコ・ブラデスコといった、スポンサーや現地パートナーである。

 それに、ライセンスを受けて5000品目近くの小物、衣類や土産物といったリオ五輪グッズの製造販売を手がける事業者もいる。関連グッズの売り上げは、合計で10億ドル(約1015億円)にも達すると見られている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、フェンタニル巡る米の圧力に「断固対抗」=王外

ワールド

原油先物、週間で4カ月半ぶり下落率に トランプ関税

ビジネス

クシュタール、米当局の買収承認得るための道筋をセブ

ビジネス

アングル:全米で広がる反マスク行動 「#テスラたた
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない、コメ不足の本当の原因とは?
  • 3
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎」が最新研究で明らかに
  • 4
    一世帯5000ドルの「DOGE還付金」は金持ち優遇? 年…
  • 5
    強まる警戒感、アメリカ経済「急失速」の正しい読み…
  • 6
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    定住人口ベースでは分からない、東京23区のリアルな…
  • 9
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 10
    34年の下積みの末、アカデミー賞にも...「ハリウッド…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 9
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 10
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中