ようやくヒラリーを受け入れ始めたサンダース支持者
ヒラリーはこの日のスピーチで、「最低賃金を1時間15ドルに引き上げる」「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)反対」「公立大学の授業料無料化」「富裕層や企業への課税強化」「ウォール街の金融機関への規制強化」といったサンダースが主張してきた政策を高いプライオリティとして強調した。これはサンダースの活動の成果と言えるだろう。また、ヒラリー自身が公約していた政治資金改革についても、サンダースとその支持者を尊重する形であらためて公約した。
取材に答えてくれたサンダース支持者は、これまでヒラリーの演説を直接聞いた体験がまったくなかった。だから、多様性あるアメリカの価値を強調する、躍動的で説得力のあるヒラリーのスピーチに心を動かされた人が少なくなかったようだ。
「スピーチは確かに素晴らしかったけれど、口先だけの約束かもしれない」と渋い口調で語る50代女性のような人も確かにいたが、「サンダース支持だったが、本選ではヒラリーに投票する」と話した人のほうが多いのは意外だった。10代の若者のほうが柔軟だというのも意外だ。ソーシャルメディアで目立つのは、攻撃的な若い男性の支持者なのだが......。
予備選ではサンダースの熱心な支持者だったという19歳のエリックは、「ソーシャルメディアで目立つ極端な意見は、実はごく一部。多くの人は、発言しないから」と言う。その発言しないマジョリティは、11月までにヒラリーを受け入れるだろうし、それ以外の人は、たとえサンダース自身が何を言っても気を変えることはないだろうと。
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イベント後、インターネットにあふれたのは、予想通り、サンダース支持者による「吐き気がする」「バーニーに裏切られた」というネガティブな反応だった。しかし、同じニューハンプシャーの以前のイベントと比較しても、サンダースの情熱的なムーブメントがすでにクールダウンしているのが見える。
2008年の予備選で敗れたヒラリーの支持者は、「ぜったいにオバマには投票しない」と誓った。しかしいったん本選が始まると、積極的にオバマを応援するヒラリーに心を動かされてオバマを支援し、彼を勝利に導いた。同様にサンダース支持者の過半数は、11月までにはヒラリー支持をしぶしぶながらも受け入れることになるだろう。