ゲリラ豪雨を育てるミクロの粒子
Jason Persoff Stormdoctor-Cultura Exclusive/GETTY IMAGES
<地球規模で猛威を振るう豪雨だが、最新研究で原因の1つが排ガスや火山灰などのエアロゾル粒子にあると判明>
今年もゲリラ豪雨が不安な季節が近づいてきた。6月に発行された米国科学アカデミー紀要(PNAS)によれば、雨雲が強大化する背景にはどうやら「エアロゾル粒子」が関係しているらしい。
エアロゾル粒子とは、大気中に浮遊する微粒子のこと。排ガスや火山灰や砂嵐が放出するちり、大気汚染の元凶として話題のPM2・5もこれに含まれる。
雲はエアロゾル粒子の周囲に水滴が付着することで発生する。ざっくり説明するならば、エアロゾル粒子が多ければ多いほど、雨粒になって落下するまでの雲の寿命は延びる。雲は多くのエアロゾル粒子に支えられて水蒸気をため込み、より強大な雨雲に成長する。
その結果として激しい豪雨が降ることを、テキサス大学とコロラド大学ボールダー校、NASAのジェット推進研究所の共同研究チームが突き止めた。
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論文によれば、大気中におけるエアロゾル粒子の含有量が暴風雨の強大化につながるという仮説が立証されたのは、今回が初めてだ。
エアロゾル粒子と雨雲の間の因果関係は「以前から取り沙汰されてきた」と、研究チームは論じる。「だがエアロゾル粒子の増加が地球全体でも地域規模でも、暴風雨の強度に影響を及ぼすことはこれまで知られていなかった」
水不足解消の切り札に?
その影響は大きい。研究チームは2430例に及ぶ「メソ対流系」の衛星データを調査した。「メソ対流系」とは、とりわけ熱帯地域で洪水を引き起こしやすいレベルの豪雨を降らせる降水のメカニズムだ。
彼らは、大気にエアロゾル粒子が多く含まれると、現地の気象条件によって雨雲の寿命が3~24時間延びる可能性があることを発見。雲の寿命が延びれば、最終的に降雨量は多くなる。