サンダース支持者はヒラリーに投票するのか? しないのか?
サンダースは16日、支持者向けのストリーミングで「政治革命」の継続を呼び掛けた BARNIESANDERS.COM
<サンダースは、民主党予備選での敗北は認めず、7月の党大会まで「政治革命」を継続する意思を明らかにした。これに対して民主党指導部は、ヒラリーを支持するような明確な圧力はかけていない。ヒラリーを敵視する支持者グループの票が、トランプに向かうことを避けたいからだ>
6月7日、ヒラリー・クリントンは、ニュージャージーとカリフォルニアという2つの重要な州の予備選で勝利をおさめ、民主党の候補指名を確実にした。
だが対立候補のバーニー・サンダースは、敗北宣言はせず、「フィラデルフィアの党大会に戦いを持ち込む」と強く語った。この日までサンダースは「党大会で特別代議員を説得して自分への支持に乗り換えてもらい、指名候補者になる」という戦略を語っていたので、支持者たちはサンダースがまだその戦略を続けると解釈した。
オバマ大統領はその2日後の9日にサンダースをホワイトハウスに招いて1時間以上会談し、その後公式にヒラリーの支持を発表した。サンダースも記者の取材に「ドナルド・トランプが大統領にならないよう、力の限りを尽くす」と答えた。
大手メディアは、これを「サンダースがヒラリー支持と民主党の団結を約束した」といったニュアンスで報じた。つまり、14日にワシントンDCで行われる最後の予備選までは戦いを続けるが、その結果が明らかになる15日には敗北宣言をして、本選でヒラリーに協力することを発表するという解釈だ。
【参考記事】ヒラリーを「歴史的」勝利に導いた叩かれ強さ
しかし、サンダース支持でヒラリーを強く批判してきた左寄りリベラル(プログレッシブ)メディアである「The Young Turks」のキャスター、センク・ウイグルは異なる見方をしていた。
9日のサンダースの声明は、7日の夜の宣言よりトーンダウンしている。だから、「党大会で特別代議員を説得して指名候補になる」という戦略は変わったかもしれない。だが、サンダースの支持者が求める社会改革についての根本的な戦いをやめたわけではない、という見方だ。
「トランプ打倒のためにどんな協働ができるのかを話し合うために、近い将来(ヒラリーと)会うのを楽しみにしている」というサンダースの声明には、(副大統領のポジションとかバーモント州への予算とかいう)個人的な利益ではなく、左寄りのアジェンダを盛り込む交渉をするという意味合いが含まれている。それがセンクの分析だ。
スピーチを聞いた時の筆者の解釈もセンクに近かった。
サンダースは、「トランプが大統領になるのを阻止する」ためのスピーチや活動は迷いなくやるが、「ヒラリーを公式に支持する」ことは躊躇している。メディアの質問に対して、「私は自分の支持者に誰に投票しろとは言わない。彼らを説得するのは私の仕事ではない。クリントン長官(ヒラリー)の責務だ」と何度か答えているが、それは、自分を熱心に応援してくれた支持者を裏切る行為だと感じているからだろう。
その背後にあるのは、極めてユニークな「サンダース現象」だ。