最新記事

尖閣

中国軍艦が尖閣周辺の接続水域入り、日本はロシア艦との関連分析

2016年6月9日(木)14時08分

6月9日、防衛省によると、沖縄県尖閣諸島周辺の接続水域に中国海軍の艦艇1隻が入った。領海の外側にある接続水域に、中国の海軍艦艇が入るのは初めて。尖閣諸島で2013年8月撮影(2016年 ロイター/Ruairidh Villar)

 尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺の接続水域に9日未明、中国海軍の艦艇が初めて入った。領有権問題は存在しないとの立場の日本は、駐日中国大使を呼んで抗議した。同時間帯にロシア軍艦も同じ海域を航行するのが確認されており、防衛省は関連を分析している。

 安全保障の専門家は中国の動きについて、ロシア艦を追尾するため尖閣諸島近くへ向かった海上自衛艦を監視する意図があったのではないかとみている。

中国大使を呼び抗議

 日本の防衛省によると、海上自衛隊の護衛艦「せとぎり」が9日午前0時50分ごろ、沖縄県尖閣諸島にある久場島の北東の接続水域に入った中国海軍ジャンカイⅠ級フリゲート艦1隻を確認した。外務省の斎木昭隆事務次官は午前2時ごろ、中国の程永華駐日大使を呼んで抗議。軍艦の退去を要求した。

 せとぎりが無線で呼び掛けるなど監視を続ける中、フリゲート艦は午前3時10分ごろに大正島の北北西の接続水域を離れ、北へ向けて航行した。菅義偉官房長官は同日午前の会見で、「緊張を一方的に高める行為であり、深刻に懸念している」と語った。

 尖閣諸島は日中ともに領有権を主張。日本は領有権問題は存在しないとの立場で、周辺12カイリ(22キロ)を領海、その外側の12カイリを接続水域としている。密入国や伝染病の流入防止に規制を設けることができる接続水域を、外国軍の艦艇が航行するのは国際法上問題ない。しかし、中国の軍艦がこれまで尖閣付近の接続水域に入ったことはなかった。

ロシア軍艦は5時間滞在

 一方、8日午後10時ごろから9日午前3時ごろにかけ、ロシア軍の駆逐艦や補給艦など3隻が、久場島と大正島の間を南から北へ抜けていくのも確認された。ロシア軍艦がこの接続水域を航行するのは初めてではないものの、防衛省は中国軍艦の動きとタイミングが重なったことから関連性を分析している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル高官、トランプ氏の人質解放要求を歓迎 ガ

ワールド

ブラジル第3四半期GDP、前期比0.9%増 金融引

ワールド

韓国大統領が戒厳令、国会は「無効」と判断 軍も介入

ビジネス

米求人件数、10月は予想上回る増加 解雇は減少
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
2024年12月10日号(12/ 3発売)

地域から地球を救う11のチャレンジと、JO1のメンバーが語る「環境のためできること」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや筋トレなどハードトレーニングをする人が「陥るワナ」とは
  • 2
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説など次々と明るみにされた元代表の疑惑
  • 3
    【クイズ】核戦争が起きたときに世界で1番「飢えない国」はどこ?
  • 4
    NATO、ウクライナに「10万人の平和維持部隊」派遣計…
  • 5
    【クイズ】世界で1番「IQ(知能指数)が高い国」はど…
  • 6
    シリア反政府勢力がロシア製の貴重なパーンツィリ防…
  • 7
    スーパー台風が連続襲来...フィリピンの苦難、被災者…
  • 8
    JO1が表紙を飾る『ニューズウィーク日本版12月10日号…
  • 9
    なぜジョージアでは「努力」という言葉がないのか?.…
  • 10
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 1
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 2
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていたのか?
  • 3
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 6
    メーガン妃の支持率がさらに低下...「イギリス王室で…
  • 7
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 8
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや…
  • 9
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウ…
  • 10
    エスカレートする核トーク、米主要都市に落ちた場合…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中