EU離脱決定で混乱のイギリス、投票やり直しの請願350万人超に
6月26日、英国民投票でEU離脱が決定した英国では、政治的な混乱が続いている。写真は、離脱が決定した翌日の各紙。ロンドンで25日撮影(2016年 ロイター/Neil Hall)
23日に行われた英国民投票で欧州連合(EU)離脱が決定した英国では、政治的な混乱が続いている。世論の分断は拡大し、国民投票のやり直しを求める署名は350万人を超えた。
英議会のウェブサイトに集まった国民投票のやり直しを求める署名は350万人超に急増している。議会は10万人を超える署名を集めた請願については議論を検討しなければならないが、法的強制力はない。
国民投票で残留支持が多数を占めたスコットランド行政府のスタージョン首相は、スコットランドで英国からの独立の是非を問う住民投票を再び実施する可能性は非常に高いと言明。英国がEU離脱を決めたのに伴い、スコットランドをEUに残留させるために必要なことを行う意向も示した。
国民投票後に実施された英サンデー・ポスト紙による世論調査では、スコットランド住民の59%が英国からの独立を支持すると回答。2014年の国民投票での英国からの離脱票45%をはるかに上回った。
EU離脱なら英国経済への悪影響は政府の予想以上となる可能性があるとの認識を示していたオズボーン英財務相は、経済政策上の対応について、27日の取引開始前に声明を発表する。
一方、離脱派を主導し、辞任を表明したキャメロン首相の後継との観測が浮上しているボリス・ジョンソン前ロンドン市長は、英国は今後もEU単一市場へのアクセスを維持する、との考えを示した。
英国内政治の混乱は、野党・労働党にも及んでいる。残留支持を訴えていたコービン党首の責任を問う声が強まるなか、26日までに同党の「影の閣僚」12人が党首への支持を撤回した。
各国の反応
EUの2大加盟国であるドイツとフランスの外相は週末に共通の立場を強調する共同声明を出したが、今後の英国への対応をめぐる両国の政治家の意見には大きな隔たりがみられた。