最新記事

英EU離脱

EU離脱決定で混乱のイギリス、投票やり直しの請願350万人超に

2016年6月27日(月)22時12分

 欧州の多くの当局者は、EU市民の支持を取り戻し、右派の大衆迎合主義の台頭を抑え、EUの崩壊を回避するにはEUの変革が不可欠と感じているが、ここにきて変革に向けた独仏の協調が困難な可能性が浮上している。

 メルケル独首相は週末に行われた所属政党の会合で、離脱プロセス開始のための最初の手続きである「EU条約第50条」の行使を英国が急ぐ必要はないと発言。

 ドイツ政府にとっては英国との関係悪化を避けることが最優先であり、国民投票結果の撤回を期待する声さえ一部である。

 ドイツのある政府高官はロイターに対し「EUは英国に圧力を掛ける手段を持っているが、それを重視すべきではない。これまでの経緯を認識する時間が必要だ」と語った。

 一方で、フランス政界からは英国とは即刻決別すべきとの意見が出ており、ブレグジットはフランスがEUでの主導権を回復する機会との指摘もある。

 メルケル首相は27日、パリでオランド仏大統領、トゥスクEU大統領、イタリアのレンツィ首相と会談し、28日からのEU首脳会議より前に共同声明の策定に取り掛かる予定。

 また、英国が国民投票でEU離脱を決定したことを受け、中国政府高官からも発言が相次いだ。

 楼継偉財政相は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の初の年次総会で、市場の不透明感が高まったと指摘。「ブレグジット(英国のEU離脱)の決定は世界経済に影を落とす。その影響は今後5─10年にわたって及ぶだろう」と語った。

 中国人民銀行(中央銀行)の元金融政策委員で清華大学教授の李稲葵氏は、中国はブレグジットの影響を最も受けない国の一つとの見方を示し、「唯一考えられる短期的な影響は人民元の為替レートだが、それも数営業日以内で急速に収まるだろう」と語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、レバノン北部のシリア国境を初空爆 輸送

ワールド

停戦合意発効、おおむね順守 レバノン南部に避難者戻

ビジネス

仏国債スプレッド、ユーロ圏債務危機以来の幅に拡大 

ビジネス

ECB、漸進的に中立金利まで向かうべき=シュナーベ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 4
    「健康食材」サーモンがさほど健康的ではない可能性.…
  • 5
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウ…
  • 6
    放置竹林から建材へ──竹が拓く新しい建築の可能性...…
  • 7
    トランプ関税より怖い中国の過剰生産問題
  • 8
    こんなアナーキーな都市は中国にしかないと断言でき…
  • 9
    バルト海の海底ケーブル切断は中国船の破壊工作か
  • 10
    早送りしても手がピクリとも動かない!? ── 新型ミサ…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 7
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 8
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中