EU離脱決定で混乱のイギリス、投票やり直しの請願350万人超に
欧州の多くの当局者は、EU市民の支持を取り戻し、右派の大衆迎合主義の台頭を抑え、EUの崩壊を回避するにはEUの変革が不可欠と感じているが、ここにきて変革に向けた独仏の協調が困難な可能性が浮上している。
メルケル独首相は週末に行われた所属政党の会合で、離脱プロセス開始のための最初の手続きである「EU条約第50条」の行使を英国が急ぐ必要はないと発言。
ドイツ政府にとっては英国との関係悪化を避けることが最優先であり、国民投票結果の撤回を期待する声さえ一部である。
ドイツのある政府高官はロイターに対し「EUは英国に圧力を掛ける手段を持っているが、それを重視すべきではない。これまでの経緯を認識する時間が必要だ」と語った。
一方で、フランス政界からは英国とは即刻決別すべきとの意見が出ており、ブレグジットはフランスがEUでの主導権を回復する機会との指摘もある。
メルケル首相は27日、パリでオランド仏大統領、トゥスクEU大統領、イタリアのレンツィ首相と会談し、28日からのEU首脳会議より前に共同声明の策定に取り掛かる予定。
また、英国が国民投票でEU離脱を決定したことを受け、中国政府高官からも発言が相次いだ。
楼継偉財政相は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の初の年次総会で、市場の不透明感が高まったと指摘。「ブレグジット(英国のEU離脱)の決定は世界経済に影を落とす。その影響は今後5─10年にわたって及ぶだろう」と語った。
中国人民銀行(中央銀行)の元金融政策委員で清華大学教授の李稲葵氏は、中国はブレグジットの影響を最も受けない国の一つとの見方を示し、「唯一考えられる短期的な影響は人民元の為替レートだが、それも数営業日以内で急速に収まるだろう」と語った。