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南米ベネズエラの頭脳流出が止まらない
抵抗か脱出か マドゥロ大統領の退陣を求める野党支持者(5月18日、カラカス) Carlos Garcia Rawlins-REUTERS
治安は悪化し、経済も危機的状況。野党は大統領の退陣を求め、デモ隊と機動隊が衝突──学歴とコネのある国民は、そのすべてに背を向け始めた。
先月、27歳のルイス(仮名)がアメリカへの語学留学から帰国すると、荷ほどきにはロウソクを使わなければならなかった。停電だ。
彼の国、ベネズエラは石油の埋蔵量世界一を誇るにも関わらず、慢性的な停電と食料不足が続いている。最低限の食料や薬を買うだけでも何時間も並ばなければならない。治安は最悪で、首都カラカスは昨年、人口当たりの殺人件数が世界一になった。昨年の経済成長率はマイナス5.7%で、インフレ率は180%と、経済も崩壊の淵にある。
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ニコラス・マドゥロ大統領は、停電はエルニーニョ現象で水力発電用のダムの水が干上がったせいだと言い、経済不振はエリートたちの妨害工作だと言う。しかし国民はそんなことは信じていない。ひどい生活を強いられるのは、政権が無能なせいだ。
チャベスと決別
ルイスはこれまでの人生の大半を、社会主義のベネズエラで過ごしてきた。両親は、マドゥロの前に17年間社会主義政権を率い、貧困層と労働者の味方と言われたウゴ・チャベス前大統領を熱烈に支持していた。だが、大学を出て、米英の会社でも働いたことがあるルイスは違う。この国から脱出すると決めたのだ。既に、逃げられる人たちは逃げ出している。
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カラカス中央大学の社会学者トマス・パエズによれば、国外に住むベネズエラ人は150万人。その90%は、2000年以降に国を去った人々だという。チャベスが権力を握ったころからだ。そして彼らの大半は、学歴や技術のある人々だ。パエズによれば90%は学士以上、40%が修士以上で、博士も約12%いる。頭脳流出が起きているのだ。
彼らの多くは元々がヨーロッパからの移民で、ヨーロッパとの二重国籍を持っていたり、親戚を頼ることができた人々だ。
ルイスはそれほどラッキーではないが、決意は固い。就労ビザを出してくれそうなアメリカの企業に就職するつもりだ。
From GlobalPost.com特約