最新記事

キャリア

「5年を1単位」としてキャリアプランを考えよ

2016年5月7日(土)06時35分

 キャリアの基盤(仕事のコンテンツ、報酬、影響力、役職など)をできる限り充実させるには、興味のある業種のトップ企業で働いたほうがいい。ただ今日の経済環境では、企業は技術革新と数年ごとの企業改革に全社一丸となって全力で取り組まない限り、業界リーダーの地位を保つことはまずできない。多くの企業は財務的・文化的制約のために、トップ企業に留まることができなくなるのだ。

 キャリアアジェンダとは、キャリアの大きな目標と達成までの行動計画だ。キャリアアジェンダを考えるなら、身につけたいスキルと、それをできるだけ短期間で獲得できる方法を考えてみよう。前章で述べたように、キャリアの1単位目では業種に関係なく、戦略的スキルを身につけるよう努力すべきだ――基本的なマーケティングと営業、プレゼンテーションのスキル、基本的な財務の知識、戦略プランニングと人事管理の多少の経験である。こうした戦略的スキルがあれば、新しい分野で特定の専門知識や技能の習得が必要とされるのに応じて、自分の付加価値を高めていくことができるだろう。ブロックを積み上げるようにキャリアを構築していくこのアプローチはぜひお勧めしたい。就職時に憧れの仕事に就きづらい経済状況ではとくに有効だろう。

 たとえば、あなたがファッションデザイナーになりたくても、大学を卒業後すぐに有名ブランドでやりがいのある仕事を得るのは難しい。だが、今取得でき、将来魅力的な人材になるのに役立つスキルを、ブロックのように積み上げていってはどうだろうか。

 ブランドが新製品や新しいラインの発表準備をするときは、いつ、どのように製品を発表し、宣伝していくかを戦略的に検討しなければならない。どのメディアを使うか? 一流のファッションショー、テレビ、ソーシャルメディア、印刷物だろうか? 新製品の販売戦略はどうするのか?

 こうしたことは、消費者向けの製品を市場に投入するときの検討事項と重なり合うものがある。あなたの最初の就職先としては、消費財メーカーのブランド管理の部門が考えられるかもしれない。ブランド管理にかかわる基本を学ぶことができ、将来自分を有力なデザイナーブランドに売り込むときに役に立つことが考えられるからだ。給料の一部を、服飾のパターン作成や立体裁断、商品化の基礎講座の受講や、その他ファッションデザインのチームに本気で加わるために必要な資格の取得にまわすことができるかもしれない。

 成功につながるキャリアアジェンダを作るには、自分の行うことをすべて最終的な目標につなげるようにすることだ。第1章で作成したワークシート(コンテンツ、仕事、スキル・経験・学歴シート)を活用してアジェンダを決めてもいい。今日のあなたの仕事は、アジェンダの中の1項目を実行するものとすべきなのだ。つまり、スキルを学習・習得する、特定の経験をする、あるレベルの給与か肩書きに到達する、あるいはその準備をすることにかかわるべきなのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

BRICS外相会合、トランプ関税の対応協議 共同声

ワールド

ウクライナ、米と可能な限り早期の鉱物協定締結望む=

ワールド

英、EUと関係再構築へ 価値観共有を強調=草案文書

ビジネス

ECB、中立金利以下への利下げも 関税で物価下押し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    【クイズ】米俳優が激白した、バットマンを演じる上…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中