ジョンソン前ロンドン市長のEU=ヒトラー発言、離脱派に逆効果か
ジョンソン氏は英紙サンデー・テレグラフとのインタビューで、2000年前のローマ帝国時代から「平和と繁栄の黄金時代」を築こうとしてきたあらゆる試みのように、EUは失敗する運命にあると発言。「ナポレオンやヒトラーなど、さまざまな人たちが試してきたが、悲劇に終わる」と語った。
民主主義の空白
ジョンソン氏は「EUは異なる手法による試みの一つだが、欧州という概念に対する潜在的な忠誠心がないことが永遠の課題となっている。皆が尊敬し、理解できるような権威が存在せず、このように民主主義の大いなる空白が生じている」との持論を展開した。
同氏はまた、2014年のロシアによるクリミア併合などをめぐり、同国のプーチン大統領ではなく、EUを非難。「EUのその場しのぎの外交政策立案や、自信を持って遂行した防衛政策が実際に問題を起こしている例が欲しいなら、ウクライナで起きたことを見るがいい」と、ジョンソン氏は9日の記者会見でこう述べている。
チャーチルの伝記やローマ帝国に関する本の著者として、ジョンソン氏は、自分の好きな政治家が第2次世界大戦後に、ナショナリズムと戦争の時代に絶対に戻らないよう統合された欧州を熱烈に支持したことを知っているはずだ。
帝国ゆえ、英国が実際にEUのような機関に参加することは想像していなかっただろうが、チャーチルは欧州評議会の生みの親である。欧州評議会の下、欧州人権条約やそれを適用する欧州人権裁判所が設立された。
しかし現在、多くの保守党議員は、欧州人権条約を英国の裁判所に対する受け入れがたい主権侵害と考え、ベラルーシ以外のロシアを含む全ての欧州諸国が批准する同条約から脱退したがっている。