一文無しも経験したから言える「起業=投資論」
15歳で起業、一度は一文無しになりながらも、20代で10億稼いだ日本人アントレプレナーの「強烈」経営論(3)
「起業とは非上場株式投資である」 リーマン・ショックで年商35億円の会社を潰した経験もある正田圭氏はこう言う――投資のポートフォリオといえば「株、債権、不動産」が主だが、起業家はいわば自社の非上場株式を対象として資産運用をしているのであり、ポートフォリオを組む際にはそれを忘れてはならない champja-iStock.
このところ、まだ起業家マインドが足りないとされる日本でも、10代の起業家が増えている。彼ら若き起業家たちの活躍は、多くの面で参考になるだろう。だが、もしも彼らが、30代や40代、あるいはそれ以上の年齢の社会人に向けて「経営論」を振りかざしたらどうだろう。どれだけの人が素直に聞く耳を持つだろうか。
何も"振りかざしている"わけではないだろうが、この人物の言葉は傾聴に値すると言えそうだ。正田圭、現在29歳。15歳の中学校在学時に株式投資を始め、まもなくインターネット事業で起業。10代で1億円の資産を手に入れるが、カジノにはまったり、詐欺師に騙されたりして一度は一文無しに。その後、未公開企業同士のM&Aサービスなどを展開し、20代で10億円の資産をつくったという人物である。
ただ10代で起業したというだけではない。「経験豊富」というひと言では片付けられないほど強烈な体験を積み重ねてきており、「失敗から学べることはない」「起業は将来における自分の選択肢を狭める」「人脈はあまり重視しない」など、そこから導き出された痛いほどリアルな経営論はユニークで説得力がある。
このたび、正田氏がその経験と経営論をまとめた新刊『15歳で起業したぼくが社長になって学んだこと』(CCCメディアハウス)が刊行されたのを機に、同書から経営論を記したコラムの一部を抜粋し、3回に分けて掲載する。
以下、シリーズ第3回は、いったん会社を売却し、経営について勉強し直した正田氏が、再出発して多角化経営を行い、年商35億円規模の会社を経営していた頃の話から。そこへ訪れたのがリーマン・ショックで、不動産の転売で稼いでいた彼は、危機を乗り越えられず、再び振り出しに引き戻されたという。精神的にも体力的にも疲弊した正田氏は、お金に対する考え方や生活習慣を見直した――。
『15歳で起業したぼくが社長になって学んだこと』
正田 圭 著
CCCメディアハウス
※シリーズ第1回:はったり営業もしていた若き起業家の「失敗論」
※シリーズ第2回:20代で資産10億、「アイデア不要論」を語る
起業とは非上場株式投資である
ここで、起業と投資に関する話をしてみます。
投資をする際には、「株式7割、不動産3割」、もしくは「債券2割、株式5割、不動産3割」といった具合にポートフォリオを組んでいきますが、この組み合わせ方を「アセットアロケーション」と呼びます。このアセットアロケーションの良し悪しが投資の成否に大きく影響するというのが基本的な考え方で、何に投資するのかではなく、投資のポートフォリオの組み方のほうがより重要なのです。