最新記事

経済制裁

中国商務部対北朝鮮制裁リストを発表

2016年4月6日(水)17時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

国連安保理が対北朝鮮制裁強化する決議を全会一致で採択(3月2日) Brendan McDermid-REUTERS

 4月5日、中国政府の商務部は北朝鮮に対する輸出入禁止に関するリストを公布した。すべて国連安保理決議に従って核やミサイル開発に関係する品目を禁止し、人道民生のための物品は除外するとある。その線引きは?

商務部公告2016年第11号

 4月5日、中国政府の中央行政省庁の一つである商務部は北朝鮮に対する輸出入品目に関する詳細なリストを公布した。所管は商務部の海関(税関)総署。公告書名は「対朝鮮禁運に対する部分的鉱産物リスト公告に関する商務部公告2016年11号」である。

 中国では正式には北朝鮮のことを「朝鮮」と書くが、ここでは全て「北朝鮮」と置き換えて書くこととする。北朝鮮は中国に対して、「北」こそが「朝鮮」を代表するものであるとして、「北朝鮮」という呼称を許さず、「朝鮮」と言わせていることが理由である。

 そこには、

――国連安保理の関連決議を執行するため、「中華人民共和国対外貿易法」に則って、北朝鮮に対する以下の生産品に関して運行を禁止する

 とある。

 禁止品目は以下の4つに分類され、それぞれに対する除外品目が列挙されている。

一、 北朝鮮からの石炭、鉄、鉄鉱石の輸入を禁じる。

 但し、以下の二種類に関しては除外する。

 1.完全に民生目的で核や弾道ミサイル開発に完全に無関係と思われる物品、および国連安保理決議第1718号(2006年)、第1874号(2009年)、第2087号(2013年)、第2094号(2013年)および第2270号(2016年)が禁止している以外のその他の非営利団体が別途収入を得る交易。これらは輸入の際に税関窓口に企業法人代表もしくは責任者が署名し公印を捺した既定の企業承諾書を提出すること。もし、信頼できる情報に基づき、これらが民生目的でなく北朝鮮の核や弾道ミサイル開発に関係していることが明らかになれば、直ちに不許可とすること。

2.北朝鮮原産でないことが確実に証明され、ただ単に朝鮮の羅津(ラジン)港を経由して輸出される石炭で、かつ国連安保理決議第1718号(2006年)、第1874号(2009年)、第2087号(2013年)、第2094号(2013年)および第2270号(2016年)に触れないその他の非営利団体が別途収入を得る交易。(筆者注:提出書類は上記1に準じるので、ここではくり返さない。)

二、北朝鮮からの金鉱、鉄鉱、バナジウム鉱、およびレアアース鉱産物の輸入を禁じる。

三、航空ガソリンやナフサ(石脳油)類を含めた航空燃料、軽油類航空燃料、軽油類ミサイル燃料などの航空燃料の北朝鮮への輸出を禁じる。

 但し、以下の二つを除外する。

1.国連安保理制裁委員会がすでに特別に批准した北朝鮮に対する基本的人道主義のニーズに応じた航空燃料。但し、この特別措置が、それ以外の運送目的に使われていないかどうかを監視する。

2.北朝鮮と国外を往復する民用航空機に使う航空燃料。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スタンダード・チャータード、超富裕層向け投資クラブ

ワールド

米エネルギー長官、戦略石油備蓄の放出停止検討 

ワールド

ベトナム・米国が協定に調印へ、商工相訪米で当局者と

ワールド

フィリピン前大統領逮捕、麻薬戦争巡りICCが逮捕状
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 2
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手」を知ってネット爆笑
  • 3
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 4
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望…
  • 5
    「中国の接触、米国の標的を避けたい」海運業界で「…
  • 6
    鳥類の肺に高濃度のマイクロプラスチック検出...ヒト…
  • 7
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 8
    「汚すぎる」...アカデミー賞の会場で「噛んでいたガ…
  • 9
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 10
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 3
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題に...「まさに庶民のマーサ・スチュアート!」
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 6
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 7
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 8
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 9
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 10
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中