「カリスマ」鈴木会長退任で揺れるセブンHD、新体制の方向見えず
多くの人が指摘するのは、好調な業績を収め、グループ拡大のけん引役ともなっていたセブンイレブンのトップを交代させるに十分な理由がなかったという点だ。
西山氏(訂正)は、経営トップの選出や解任をガバナンスの最重要テーマとしたうえで「トップを変えるには納得できるような理由が必要。上場会社である以上、合理的な説明ができなければならない」とする。
鈴木会長による井阪社長交代の動きをけん制していた米ファンドのサード・ポイントは7日深夜、ダニエル・ローブ代表が「7&iHDの取締役会が実績と株主の最善の利益に基づき選考したことを嬉しく思う」とのコメントを発表。「日本の将来にコミットしている投資家として、7&iHDのコーポレート・ガバナンスが、安倍晋三首相が進める第3の矢に沿って進化を遂げたことを大変喜ばしく思う」と強調した。
混乱の早期収拾は可能か
「戦略なしの暴走としか言いようがない」。流通業界に詳しいプリモリサーチジャパンの鈴木孝之代表は、同会長の辞意表明に手厳しい。「責任を取って辞めるのは潔さそうに見える」ものの、内外ともに認める後継者がない現状では、混乱するメッセージとしかならない、という指摘だ。
同社の今後に影を落とす大きな不安は、セブンイレブンの生みの親である鈴木会長と祖業であるイトーヨーカ堂を創業した伊藤雅俊名誉会長との確執だ。今回の人事騒動では、その対立が表面化し、取締役会でも票が割れた。社内がひとつにまとまることができるかは、今後の体制作りにとって重要な問題。ある市場関係者は「社内でのさらなる混乱が表に出るようだと、業績や株価にも悪影響を及ぼしかねない」と懸念を示す。
7日の会見では、鈴木会長と村田社長の他に2名の顧問が同席。井阪社長の交代の際に、同社顧問が井阪氏の父親を訪ねたり、「伊藤名誉会長の部屋と鈴木会長の部屋を行ったり来たりする役柄」(後藤光男顧問)などという、「長老」に左右される同社の古い体質も浮き彫りになった。