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2000億ドルもの中国マネーがアメリカに消えた?

2016年4月1日(金)13時50分
譚璐美(作家、慶應義塾大学文学部訪問教授)

 そして一度銀行口座を開設してしまえば、その後にどのような目的で利用したとしても、発覚しにくい。「名義貸し」は犯罪だが、例えば香港では目下、銀行口座の「名義貸し」による資金洗浄が急増し、裁判所の告発案件は列を成している。それがアメリカで起きない理由は見当たらない。

 21世紀はグローバル化の時代だといわれるが、その急先鋒であった国際金融の世界は、今、迷路にはまり込んでいるようだ。猛獣のように世界中を駆けめぐる汚濁した資金の流れを押しとどめようと、世界の金融センターは軒並み健全化に転換しているが、ありあまる汚濁した資金は行き場を失い、怒涛の如くに香港に注ぎ込まれている。

 中国政府が実質的に支配する香港で、果たして建前通りの金融規制が行われているのか、水面下ではどのような抜け道を通って資金洗浄が行われているのか、西側諸国はその実態を察知する術をもたない。

 香港経由でアメリカに流入する大口の資金以外に、個人口座を通じて中国大陸から直接アメリカに流入する大量の小口資金は、目下、アメリカの大きな頭痛の種である。銀行口座の新規開設を巡る攻防は、まさに水際で繰り広げられている熾烈な戦いなのである。

[執筆者]
譚璐美(タン・ロミ)
作家、慶應義塾大学文学部訪問教授。東京生まれ、慶應義塾大学卒業、ニューヨーク在住。日中近代史を主なテーマに、国際政治、経済、文化など幅広く執筆。著書に『中国共産党を作った13人』、『日中百年の群像 革命いまだ成らず』(ともに新潮社)、『中国共産党 葬られた歴史』(文春新書)、『江青に妬まれた女――ファーストレディ王光美の人生』(NHK出版)、『ザッツ・ア・グッド・クエッション!――日米中、笑う経済最前線』(日本経済新聞社)、その他多数。

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